【対談】PMDデザイナー マリエ x RETOY'S編集長 エナ “ファッション談義” 第二弾「自分たちの今、これからのファッション」

久しぶりとなるPMDデザイナー マリエとRETOY’S編集長 エナによる“ファッション談義”。第二弾もまた熱い話しが始まります。

Ena(E):2018年の一年間は振り返ってみてどうだった?PMDとしてトライしたことも色々あったと思うけど。

Marie(M):ファッションをやるための土台作りを四苦八苦しながら作っていった一年だったと思う。もっともっとファッションやりたいし、もっともっとモードでクリエイティブなこともしたいんだけどそこに辿り着くまでの準備段階だったかな。自分が本当にしたい事にはまだトライできていないっていうのもあるから、まずPMDを知ってもらうっていうことがどれだけ大事なのかをもう一回原点に立ち返って考えなおした一年。

E:それはブランドとして色々模索しながら気づいていったっていうこと?

M:そうだね、自分が服を買うだけの側だった時には気づけなかったことに気づいたことも多かったね。出来上がったモノをお客様に届けるだけじゃなくて、それを作る過程で、特にクリエイティブの面でたくさんの壁を超えていくのってすっごく大変だった。
例えば、Tシャツやニット、パンツひとつにしても、私はこれまでになかったものを作りたいわけじゃない?既存のものにプリントするだけじゃなくて今まで見たことのない染め方だったり、変わったことをしないと自分が満足しない。だからそういう時に業者さんや生産側の方と一回一回壁を乗り越えていかなきゃいけないの。「この色とこの色、混ぜていいんですか?」みたいなことを何回も聞かれるから、私的にはもう聞かないでほしいんだ(笑)「この組み合わせって今までしたことないですよ」って言われるんだけど、でも今私がやりたいって言ってるんだからお願いします、って言うやり取りを毎回するのが結構大変。でも出来上がってくるとみんなこの色素敵ですねって言ってくれるんだけどね。今エナさんが着てくれているニットも「前と後ろで色が違うけどいいんですか?」ってそこから始まるんだもん。「大丈夫です!」「間違ってませんか?」「間違ってないです!」って(笑)

E:結果良いものが上がって分かってもらえるんだろうけど、でもそれを先導していくのはなかなか大変だね。

M:そうなんだよ。今、本当にファッション好きで良かったって思う。こんなに辛いんだったらファッション好きじゃなかったらできないよって(笑)

E:これでもし目的がお金だったりしたらできないなと思うこといっぱいあるよね。

M:あるね~(笑)お金目的だったらソッコー辞めようかなってなってたかもしれない。

E:儲からないしな~みたいなね(笑)気持ちが折れるときはあるよね。

M:大変なことはたくさんあるけど、でもインスタ見ていて「あ、エナさんがPMDのアイテム着てくれてる~」とか、昨日もファンの子が新年会で着てくれてるの見たりすると超嬉しくて。そういうの見るともっとカッコいいもの作りたいって思う。
毎回何か新しい事をやるたびに色んなことが間違ってたって気づくの。どっちかって言うとまだまだ後悔の方が多い感じ。今年はもっと踏ん張っていく!

E:やってみないとわからないもんね。でもそうやってマリエちゃんがブランドとして色々トライしている姿が見えるから「こんなのやってみませんか」ってお話が来るようになってるんだよ。普通は服を作っている人たちとバイヤーとお客さんの三者ってそこまで繋がっていないしね。マリエちゃんがやりたいファッションをブランドとして伝えていこうっていう姿がこの一年でリアルに見えてきたんだと思うし、ブランドイメージが定着してきた気がするな。

M:あー、それは嬉しいな。自分自身辛いこともたくさんあるし、毎朝「今日もまた朝を迎えてしまった…」って感じで起きるんだけど(笑)、でも昔より断然いい顔してると思うんだよね。自分の好きなことをしていて、自分が好きな自分でいられてるって感じ。何がやりたいかはっきりわかってるから生きやすくなった。苦労は絶えないけど(笑)でも今やってる苦労って何かって言えば過去の自分の間違いを正しているだけなの。パッパラパーだった時にやってしまったことを修正してる作業だから、未来は明るいなって思ってる。

E:怖いものがない状態ってパワーはあるんだけど間違ってることになかなか気づけなかったりするからね。私も伝えたいっていう気持ちを仕事にできてるからすごくありがたいなって思う。
今ってSNS時代で良いことも悪いこともあるじゃない?叩かれたくないからディスカッションもできなくなって、言いたいこともふんわりとしか伝えられなくなるのも寂しいなって。マイナスなことを書いた方が炎上して注目を浴びられるって言う考えもあると思うんだけどあんまりハッピーじゃないよなって思う。私はうちのサイトを見たいと思ってくれる人に伝えられる場所を今後も作っていきたいんだよね。

M:今第二次ドキュメンタリーファッション映画ブームなのかなって思ってて、最近ヴィヴィアンもやってたし次にマルジェラも出すでしょ。リアルなファッションの現場を伝えてくれる感じでああいうのすごく楽しい。そういう映画を見たりパーティー行ったり、表現ひとつや好きなことひとつにしても色んな場所や方法があるよね。

E:そう、一個じゃないからね。デザイナーは服を作るのがもちろん仕事だけどその過程って一言では表せられないし、“服を買う”っていう行為もネットでポチっとなのかリアルに買い物に行きたいのか人によって違う。ファッションショーもたくさんの支えてくれる人がいて一個の形になる。今のこの時代の流れの速さと疑問と色んな意見が交わって、もっとはっきり好き嫌いを主張する時代になってもいいいのになって気がするな。

M:確かに。でも最近の若い子は感度高い子が多いなって思うよー。みんなよくモノを知ってる。

E:知識も大事だけどその先にも行ってほしいなー。最近驚くのは若い子にお手伝いを頼むと「それってパソコン使いますか?」って聞かれたこと(笑)残念ながらこの仕事はまだパソコンがないと今のところ難しいからね。

M:パソコン持ってませんって子、最近多いよね。

E:パソコンの話だけに限らず、例えばWEBサイトってどうやって作られているんだろうとか、取材に行って記事にする作業ってどうやって形になっていくんだろうとか、そういう先の部分まで興味を持ってくれるともっといいなって思う。「インフルエンサーになりたいです」って言われることもよくあるんだけど、インフルエンサーっていう言葉が先行しすぎちゃって中身が追い付いてない感じもしない?
みんな言葉は知ってるんだけど中身が詰まってる人が少ない感じ。

M:あるかもね。実際の行動に結びつくかどうかってところだよね。

E:ファッションってすごく儲かる仕事ではないじゃない?でもファッションに対して夢を持っている子たちはいっぱいいるのに日本はなかなか文化として発展しないのが悲しくて。ファッション好きは一部の人だけ、みたいなね。

M:まあ儲かる仕事ではないしね(笑)

E:お正月に大阪に帰省して街をウロウロしてたんだけどみんな同じ格好してるなって思った。昔の個性的な大阪を知ってるからかな。昔は変な人がいっぱい歩いてたんだけど(笑)、最近はみんな普通なのかなぁってちょっと寂しく思った。観光の方が多いのもあったんだろうけど。

M:そっかー。私もたまに大阪行くけどおしゃれな人多いなって印象。自分の自己表現を濃く出している人が多いイメージ。

E:カルチャーとしては個性的な部分はやっぱりあると思う。私も学生の時、服が友達と被るなんてありえなかったし(笑)髪型が友達と同じになるのも嫌で毎月少しずつ切ったりしてたな。

M:真似すんなよ、みたいな感じ?(笑)

E:結果切りすぎてモンチッチみたいになっちゃったけど(笑)
自分も20代のときに比べると、個性の出し方は歳ごとに変わってきたな。でも年齢に応じて似合うものが変わってくるのも面白いよね。だからこそ若いときは逆にゴリゴリやってもいい!それがないと大人になって着たいものわかんなくなると思うの。

M:それはすごくそう思うなー。色々試してやってみないとわかんないよね。
この間伊勢丹をぐるっと見てて、扱ってる商品のセンスが上がったなって思ったの。「こんなブランド入ってるんだ、早い!」って思ったり。バイヤー側のセンスは上がってるように感じたんだけど、じゃあぶっちゃけ、買う側のセンスって上がってるのかしら?って思っちゃった。私が「カッコいい!お金があれば買い占めちゃうのに!」って思う服を同じ感覚で素晴らしいって思う人が何人いるんだろう?って。もし買ったら「マリエだから着ちゃうんだよね~」って言われるようなものあるじゃん(笑)、でも私はそういう個性的なアイテムが好きだから。だからこそ心配になるの。この素敵なドレスたちはこの後どこに行くんだろう?って。

E:どこも奇をてらったものがなかなか入れられなくなってるよね。伊勢丹も新宿じゃなければ成り立たない品揃えになってると思うよ。
大阪にも伊勢丹があったんだけど人がいるのは地下の食料品売り場だけでファッションフロアは閑散としてた。寂しかったな〜。ちょっと派手だったり個性的なアイテムってファッション業界以外の人には手が出にくいかもしれないんだけど、トライしてみる気持ちって素敵だと思うな。日本人ってすごく真面目なところがあるからファッションでも周りをすごく気にしちゃう。浮かないようになのかな?でも、だからこそ今SNSで自己表現をしっかりしてる人たちが支持されてるんだろうな。

M:そうだよね。私たち業界の人はファッション好きで思いっきりやってるもんね。

E:全部が全部マネできなくても、ちょっとアイテムで取り入れたりする楽しみ方から自分のスタイルを見つけていくと楽しいよね。若い子たちにも自分が置かれている環境の中でめいっぱい楽しんでトライして自分のスタイルを確立していってほしいなって思う。私も大人になったわ(笑)

M:本当にいいモノを買って十年以上着ることで得るものとかもあるしね。今私のクローゼットって自分が作った服か、これはもう一生着るだろうなっていうような服しか残ってないの。そのスタイルに行きついてよかったなって思ってる。
最近すごくびっくりしたんだけど、ファストファッションのお店で“Buy 1 Get 1 FREE”(1着買えばもう1着無料キャンペーン)をやってたのよ。もうね、ファッションの世界ってここまで来てるんだって開いた口が塞がらなかった!アメリカだとスーパーとかでよく見るんだけどさ。てことはだよ?在庫を処分するよりどんどんタダであげちゃった方がコストが安くすむってことだよね。それってすごいなって思って。それが今のファストファッションの世界ってことなんだろうけどちょっとゾッとしちゃった。

E:1シーズンでたくさんのアイテムが展開されるから特にだろうね。サスティナブルっていう部分でも、文化的にも大量に廃棄することがマイナスだっていう風になってるからね。だとしたらあげちゃった方がいいって考えなんだろうけど…。

M:色んなマーケティングの仕方があるんだなぁと。この間のPayPayの還元キャンペーンも、ZOZOの前澤さんのお年玉プレゼントも話題になって結局は大きな宣伝になってるじゃん。広告の手段としてバナーを出すとか出稿する以外のやり方をビジネスとして考えたまで。

E:PayPayのキャンペーンは批判も含めてみんな記事にしたりSNSに書くじゃない?それで名前も知られれるし、前澤さんの場合もフォロワーが増えてニュースにも取り上げられて会社自体が大きな宣伝効果を得てる。炎上リスク含めてマイナスな面がある方が日本は取り上げられるというか、そっちの方が世間の関心が向きやすいんだと思う。ニュースにも取り上げられやすいしね。

M:世界中がそうだとは思うんだけど、日本は結構そのやり方が遅く来たなと思う。炎上商法なんてトランプ大統領がもうやりきってるし、日本もビジネスライクに捉えだした人たちがやっと取り入れだしたって感じかな。私はそのやり方も賛成派。ファッションブランドももっとヤンチャすればいいのになって思うよ。まあ自分でできてないのに言うのもあれだけど(笑)