OVERCOAT 2024 F/W COLLECTION 探究と革新、そしてアートと日常が融合する世界へのいざない

ⒸIan Bartlett

OVERCOAT(オーバーコート)2024年秋冬コレクション。NYにおける日常生活の中で出会ったフォルムやシェイプを解体しパターンへと落とし込む大丸の2024年秋冬コレクションは、正円やむいたリンゴの皮などのシンプルなドローイングからインスピレーションを得て、キュ
ーブやチューブといった形に変容させている。大丸は「究極にシンプルなパターンには、無限の選択肢と可能性を感じる」と話している。本コレクションは、従来の服の構造に挑戦するART PIECESと、厳選された READYTO-WEAR の2つのセグメントから構成され、READY-TO-WEARのルックは映像作家のリチャード・カーンが撮り下ろしている。

ART PIECESのコレクションは、伝統的で画一的なテーラードのルールに挑んでいる。ファッションは体験型アートでもあると考える大丸は、洗練されたエレガンスと素朴で無骨な生地をかけ合わせ、巧妙なパターンワークによって、完成されたピースへと昇華させた。変形したチューブやキューブ、ドルマンスリーブなどの思いがけないフォルムを採用し、従来のシルエットへの概念を覆す革新的な構造美を生み出している。

READY-TO-WEARのコレクションはART PIECESのコンセプトを基に、より実用性とOVERCOATらしさを融合している。肩のプリーツや、スリーブからフードまで一体となった構造などブランド独特のパターンワークを取り入れ、多様な素材と色彩で展開。抽象的なブークレ、オーバーダイプリント、ハイグロスナイロン、良質なレザー、デジタルニットやスムースウールのセーターなど提案の幅を広げている。今シーズンの主要カラーとして、キャメル、グリーン、レモン、アイスブルーを採用。大丸隆平が記した「WE BUY GOLD」はNYの生活でよく目にする看板から着想を得た詩で、解釈は各人に寄るものの、アーティスト ピーター・マイルズの共感を呼び象徴的なグラフィックが生まれた。

大丸隆平のクリエイションは、身につけるものとしての服だけでなく、身体性を伴った体験になることを目指しており、個々の作品には、既成概念への挑戦と主体性への賞賛が形となって現れている。OVERCOAT 2024年秋冬コレクションは、伝統主義的な世界における自由へのマニフェストであり、大丸隆平が提案する探究と革新、そしてアートと日常が融合する世界へのいざないでもある。

■OVERCOAT

https://overcoatnyc.com/



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