Chloé Fall 2023 Collection 環境問題とジェンダーの密接な関係に思いを巡らせる

Chloé(クロエ)2023年フォールコレクションは、気候変動への解決策を探るメゾンの取り組みの第3章。リワイルディングー自然が自らを自己保存していくことを目的とした環境保全の先進的アプローチに焦点を当てた2022年秋冬コレクション。核融合エネルギーの可能性を探求した2023年スプリングおよび春夏コレクション。そして今シーズン、クリエイティブ・ディレクターのGabriela Hearst(ガブリエラ・ハースト)とクロエチームは、環境問題とジェンダーの密接な関係に思いを巡らせた。気候変動はすべての人に影響を与えるが、世界各地に残るジェンダーの不平等により、特に不当な被害を受けるのは女性と少女たち。国連開発計画によると、気候変動の影響で避難した人の5人に4人が女性。しかし、女性の革新性や、専門知識により生活や生計が改善され、気候変動による被害から回復する力や全体的な福祉が向上していることが調査により明らかになっている。つまり、ジェンダーギャップの解消こそが、気候変動対策として不可欠となっている。このメッセージは、ルネサンス期とイタリアのバロック期を代表する画家Artemisia Gentileschi(アルテミジア・ジェンティレスキ)をテーマとした、本コレクションの美学に反映されている。17世紀のヨーロッパで、アルテミジアは当時の常識を覆して成功した女性画家であり、女性を主人公として、また自らの運命を切り開く者として描いた数少ない画家の一人。自らの絵画を通して女性を擁護し、女性の力の限界に対する誤った認識を覆した。このコレクションでは、アルテミジアの作品が持つ女性的なパワーが、大胆でありながら柔らかなシルエットを通して、また対照的なファブリックを使った意外な組み合わせによって表現されている。ビショップスリーブが特徴的な膝上丈のオフショルダードレスにはナッパレザーを使い、ルネサンスを現代的かつグラフィカルにアレンジ。V字ウエスト、スクエアネック、トランペットスリーブのドレスは、グラフィカルなニットパターン、そしてウールとシルクの革新的で贅沢な組み合せがコントラストを生み出し、スカートとトップスの組み合わせは、ルネサンス建築からインスピレーションを得た格子モチーフが、身体のカーブに視覚的な効果をもたらしている。クロエは、水の使用量を最大80%削減した、環境への負荷が少ない新しいデニムウォッシュを開発。ライニングにシアリングを用いたロングコートの全身デニムのルックは、3色のインディゴカラーからなるパッチワークが特徴的。デニムはまた、カーキグリーンの天然染料で染められたリネンがコントラストを奏でるデザインにも使われている。Adriano Goldschmied(アドリアーノ・ゴールドシュミット)は、サーキュラーデニムラインに加え、今シーズンのスーツ用に、リサイクルコットンを使用した新しいコーデュロイをクロエのために特別に制作している。アルテミジアは、布の流れやドレープの表現を得意とし、作品に深みとドラマを与える色使いとコントラストで知られている。こうした技術は、今回のコレクションにおいて、ベルスリーブのオーバーサイズトップス、フレアスカート、ドレス、トラックスーツに反映されており、それらはすべて、ブラウン、キャラメル、コーヒーといった豊かな色彩のカラーブロックが施されたしなやかなレザーを使用している。中世以前の古典的な考え方を凌駕しようとしたルネサンスの精神に則り、クロエは従来の衣服に革新的な風を吹き込んでいる。2023年フォールコレクションの新作バッグラインArleneは、ボヘミアンな美しさ、丸みを帯びたフォルム、シグニチャーのメタルハードウェアが印象的。本コレクションでは、新しいフットウェアスタイルが導入されるとともに、既存のフットウェアスタイルも進化している。レディ・トゥ・ウェアとアクセサリーは相互にシナジーを生み出し、鎧の美しさを再解釈したジュエリーが全身を彩っている。



CONTENTS