Chloé Spring/Summer 2023 Collection 気候変動への解決策を探るメゾンの取り組みの第2章

Chloé(クロエ)2023年春夏コレクションは、気候変動への解決策を探るメゾンの取り組みの第2章。2022年秋冬コレクションでは、リワイルディング(再野生化)をテーマにコレクションを展開してきた。自然界が本来の形で自己保存していけるよう保護を行う、先進的アプローチ。そして今シーズンは、2023年スプリングコレクションに続き、核融合エネルギーについて探求している。クリエイティブ・ディレクターのガブリエラ・ハーストは、気候変動問題を成功へと導く確かな方法が1つあるとすれば、世界中のエネルギー消費量の約84%を賄われている化石燃料の使用を早急にやめることだと考えている。そこに射す希望の光は核融合で、すべての星々のなかで起こっている反応を再現すること。試算では、グラス1杯の核融合燃料から、1つの家庭に800年以上電力を供給する電力量が製造できるとされている。現在、技術の進歩と資本の流入のおかげで、核融合がまもなく、この地球全体を照らす無限でクリーンなエネルギー源になりそうなところまで来ている。ガブリエラ・ハーストとクロエのデザインチームは、2023年春夏コレクションに向けて、Commonwealth fusion Systems、Helion Energy、ITERへ訪問に加え、科学者や技術者と実際に話し、核融合について広範な調査を行った。ラテン語で「道」を意味するITERは、今日、世界中で最も大きな望みを持つエネルギー・プロジェクトの1つ。35カ国が参加するグローバルな科学パートナーシップの目標は、最大規模のエネルギー源として核融合の実現可能性を保証する装置である、世界最大級のトカマク核融合炉を建設すること。ITERの一体感を表現するために、2023年春夏コレクションのショースペースは、ビジュアル・アーティストであるパオロ・モンティエル・コッパとのコラボレーションによりデザインされた。コッパは、人類の曼陀羅として、核融合をエネルギーの象徴のように描き出す、光のインスタレーションを制作した。環境負荷の少ないカシミアのメッシュニットは、テクスチャードリネンのテーラードを重ねることで引き立てられている。生糸を使ったコートは、工業用のハードウェアでフロントセンターを留めるデザインとなっている。リネンのジャケットとケープのエッジには、レザーのカラーテープをあしらい、実用的なタッチを演出。チュニックのトップスおよびドレスに施されたカットアウトには、メタリックな手吹きのガラスビーズが垂れ下がり、メタルリングと幾何学的なスエードのパネルはハンドクロシェ編みで繋ぎ合わされ、ドレスへと仕上げられている。丸みを帯びながらもかっちりとしたコレクションのシルエットもまた、トカマクの構造に特徴づけられている。レザードレスは、足場組みのようなシームワークでウエストを絞り、曲線的なスリーブのアシンメトリージャケットには、ゆったりとしたレイブパンツを組み合わせており、ドレスは、翼やハートのようなシルエットが、ボリューム感をもたらしている。ダイナミックさを強調するように、バイカースタイルにインスパイアされたレザージャケットや、シームに沿ってホイップステッチが施されたロングコートが登場。今シーズンのフットウェアコレクションでは、技術的なリファレンスと自然の要素の融合を見ることができる。コルクのプラットフォームシューズ Odinaには、ゴールドもしくはシルバーを添えることできらめきを演出し、Pipのミニマルな透明のウェッジには、ブレイドレザーのトリミングでコントラストを実現している。2023年春夏コレクションでは、新作バッグPenelopeの3つのバリエーションが発表された。まずは、3サイズで展開されるスラウチーなシルエットのデイバッグ。グレインレザーやリネンからラフィア、ニットまで様々な素材が揃い、どれもブレイドやタッセルといったハンドメイドのディテールが特徴となっている。フラップバッグは、クラシックなボックスカーフレザーとゴールドの編み込みレザーの2種類がある。最後に、ハンドキャリーやショルダーで持つことができるクラッチが、ニットや光沢のあるレザー、メタリックレザーといった素材で展開され、幅広い用途で活躍する。



CONTENTS