MOSCHINO WOMENSWEAR FALL/WINTER 2022 COLLECTION 設備の整った家というコンセプトと、その装飾が意味するもの、示唆するものを、超現実的な横糸を使いながら巡らせる

MOSCHINO(モスキーノ)2022年秋冬ウィメンズコレクション。贅沢な空間。壮大な邸宅。優雅な部屋。または、これらの敷地を望遠鏡で観察。ジェレミー・スコットは、設備の整った家というコンセプトと、その装飾が意味するもの、示唆するものを、超現実的な横糸を使いながら巡らせている。それは、モスキーノのアーカイブから生まれた苗木から始まった。1989年と1990年、フランコ・モスキーノは、カトラリーのブローチや蛇口の取っ手などをプレタポルテのアクセントとして発表。身近にありながら、キューブリック的とまではいかないまでも、非日常的な探求がそれを引き立たせている。もし誰かが、あるいは何かが、今日、大邸宅のクローンを作る任務を任されたら、バロック様式の額縁や重厚な鎧戸、柱時計、クリスタルが散りばめられたシャンデリアは、今でも裕福な住まいを象徴するものだろうか?ジェレミーの手法と同様、罪悪感のない豪華さと余韻のバランスが秋の部屋を満たしている。まず、新しいタキシードジャケットとドレスには、モスキーノの家宝であるハンドルがボタンとして使われており、ルイ14世時代のドレッサーをモチーフにしたオーナメントや古いお金が、コートやボックス型ジャケット、スカートに姿を変えている。ボールルームのハープをラペルに見立てた立ち襟ブルゾンは、古いサイエンスフィクション番組に登場するユニフォームを思い起こす。シャンデリアのモチーフや、だまし絵(トロンプルイユ)のドレープに施された細い線の細工が揺れ、ホワイエから退廃的なダイニングルームへと続いていく。ここでは、モスキーノの銀食器が、ボディのゴールドの装飾やハイヒールのラッピングとして登場。ダイニングルームのディテールは、ベルベットのセットチェアをストラップレスのドレスに、高くそびえる時計の柱に、シルバーのトレイのビスチェなど、豪華なパーラーへと変化している。しかし、この問いは決して答えがでない。この素晴らしい快適さは投影されたものなのか、それとも個人的なものなのか?幻なのか、それとも現実なのか?おそらくその両方。これは『2001年宇宙の旅』なんだとジェレミーは話している。



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