モデルAnna Kanehara ニューヨークに来て3年、いま思うこと、これからのこと。

モデルAnna Kanehara ニューヨークに来て3年、いま思うこと、これからのこと。

Anna Kanehara(Instagram: annakanehara

H 177cm / C 77cm / W 60cm / H 86cm / S 25.5cm (Donna Models所属)

Anna Kanehara_2 Anna Kanehara_3

PHOTO_Ena Kitamura

 

10代でパリコレデビューを果たし、現在はNYを拠点に活動中。日本人の代表的モデルとして欠かせない存在となっているAnna Kaneharaさんにスペシャルインタビュー。

 

・モデルはいつから?

—始めたのは14歳の時。初仕事は今はもうなくなってしまった「Hot-Dog PRESS」というメンズの雑誌で、スタイリストの島津さんのページでした。 その後PS、Spring、JILLなどに出させて頂いて、流行通信やハイファッションのお仕事をさせて頂くようになりました。最初はウォーキングができなかったし、半年くらいかけて練習しましたね。それでやっとオーディションに行けるようになって、その後東京コレクション(*以下東コレ)に出させていただけるようになりました。

 

・NYに初めて行ったのは?

—2011年の6月、もう3年前になります。以前コレクションでパリに行ったとき、実家を出て一人暮らしの経験もなく、初めての海外での生活だったんです。色んなことがあって、海外恐怖症というかトラウマになってしまって19歳くらいで行かなくなって。でも二十歳の時にヘアをやっている彼と出会って、彼はアシスタントを終えた後に海外でやりたいって目標があったんです。わたしはもう精神的に行けないとは思っていた反面、やっぱりチャレンジしたくて。一緒にもう一度チャレンジしてみようかなって思ったのがキッカケですね。同じ飛行機に乗って一緒に行ったんですよ(笑)

 

・NYに引越すのは覚悟も必要ですよね

—22歳になる前だったんですけど、アメリカのエージェンシーって面接してくれる年齢の上限がだいたい22歳。もうラストチャンスだと思って、最後の賭けで行きましたね。自分でエージェンシーに電話してアポを取って面接してもらうっていう、ゼロからのスタート。親に、引越す覚悟でNYに行くって話した時は、やっぱり心配されました。短期間行くのと引越すのではやっぱり違うから。でもいつも結構自由にさせてくれるので、最終的にはOKはしてくれました。今となって、そんな親に本当に感謝してます。

 

・NYでの生活にはすぐ馴染めましたか?

—6月だったので明るいイメージでした。みんなフレンドリーだし!きっとパリは英語すら通じなくて“日本以外は別世界”って、同じ人間なのに全く別だと思ってしまったから恐怖だったんでしょうね。行ってすぐは彼ともケンカが多かったですよ。お互い新しい生活に慣れてないのもあって、彼も英語ができなかったし、特に知り合いもいないっていう環境だったので。でもNYは10年はいようって彼が考えていて引っ張ってくれたので自分も自然と腹をくくったというか。とはいえ最初は全然甘くて、くくれてなかったんでしょうね。

 

・ NYでの初仕事は何でしたか?

—9月のファッションウィークでした。6月にNY行って家を探して2週間くらいで住むところのベースができて、そこからエージェンシー探し。7月中旬までいたのかな。でもその時、肌のコンディションが悪くて仕事がもらえなかったんですよ。でも一カ所だけ、ファッションウィークの前にもう一度きて肌がよくなってたら考えるって言ってくれたところがあって、結果そこがOKを出してくれた。NYに来て家まで借りたのにこれで決まらなかったらVISAも貰えないしどうしようって不安はありましたね。9月にNYファッションウィークでお仕事をして、10月の東コレで日本に戻った時にVISAの申請の準備をしてもらって、2012年から本格的に NYに住むようになりました。

 

・NYではどんなお仕事をしていますか?

—NYでもファッションの仕事をメインでやっています。アメリカに来て初めて経験した新しいお仕事の1つに「プロジェクトランウェイ」という、デザイナーの卵がテーマに合った洋服を作ってコンペティションしていくというテレビ番組のお仕事をさせてもらったんです。その番組で、モデルとしてデザイナーが作った洋服をファッションショーで見せる。デザイナーが勝ち残れば自分も残る。優勝はしなかったんですけど最後まで残れました。テレビの現場はやっぱり全然違いますよね。まず人が多いし、みんな朝から夜まで死にそうに動いてて(笑)一つのモノも色んな撮り方で撮るから同じショーを3回やったりもして、そういう中で“アメリカのテレビってこうやって出来るんだ”っていう新たな発見もあったし、面白い経験でした。今後はモデルとしての幅を広げるためと、新たなる挑戦としてアメリカに戻ったら演技レッスンにも行ってみようと考えてるんです。

ÉvÉäÉìÉg Anna Kanehara_5 Anna Kanehara_6 Anna Kanehara_7 Anna Kanehara_8 Anna Kanehara_9 Anna Kanehara_10 Anna Kanehara_11 Anna Kanehara_12

・NY、パリ、日本、仕事やオーディションの違いは?

—日本での仕事の仕方をそのままNYでやったら消えちゃうと思う。日本は日本人だけでのコンペティションだけど、海外に行けば世界中から多くの人がそこに集まってる。それまで人種とか意識したことがなかったけど、わたしは向こうでは “アジア人枠”。自分はなにで勝負しようと考えた時に、ものすごく髪を伸ばしたんです。でもブラジアン、ハワイアン、ネイティブアメリカンとかに見えるねって言われて、もしかしたらアジア人枠だけではなくて戦えるかもって。それから服やメイクを変えたりして、“いわゆるアジア人”とは違ったイメージを見せれるような意識を持つようになりました。最近髪を切ったんですけど、わたしは短い方がキャラにも合ってるし、早く切っとけばよかったかなって(笑)オーディションもNYとパリではまた違ってNYは愛想がいい。本心では思っていなくてもその場では評価されたりして、本当に?って思うことはありました。その場で“興味ないんだ”って分かっちゃうパリほどのショックはなかったですね。

 

・モデルをやっていて苦労したことは?

—オーディションやキャスティングでタイプが似てるモデルがいた時に自分が選ばれる理由って多分、新鮮味なんですよね。 そう考えた時、 人の判断で私の価値が上げ下げされるのってバカらしい!って思ったんですよ。でもかっこいいものを撮れた時やすごく素敵なショーに参加できると、やっぱりこのお仕事は大好きだし、どんどん仕事現場の一部になりたいって思いもあって。日本でのキャリアがラッキーでうまくいきすぎてたから、もっと自分の考えを持ってやっていかなきゃって。NYに行って精神面も強くなったし、人としても成長出来たと思う。来月また戻るんですけど、ここからが本当の勝負だと感じています。

 

・NYやパリの経験が多いアンナさんからみた東京ファッションの現場は?

—海外に行ったモデルやデザイナーって日本に戻らない傾向があるじゃないですか。でもわたしはなるべく日本のマーケットも大事にしつつ、海外もチャレンジしてっていうバランスを取っていきたいと思って毎シーズン帰ってきてるんです。コレクションではこんなの普段着れないよって思うくらい世界観のある服こそショーでやって面白いし、人にインスピレーションを与えられる。モデルっていうジャンルも色々あるけど、わたしには日本のKawaiiファッションの良さは伝えられない。海外で活躍する日本人アーティストに、日本のマーケットがはまるとは限らないのが現状で、わたしたちのようなジャンルのアーティストも、もっとリスペクトして欲しいなとは思いますね。

 

・モデルとして自分の表現についてどう考えていますか?

—この間、洋服をより良く魅せようと思ってお尻の形を考えてトレーニングをしたんです。そしたらあなたはアジア人だからそんなことしなくていい、セクシーさは求めてないよって言われて。洋服を魅せるためにしたことを否定されたのもショックだったし、顔だけじゃなくアジア人の体はフラットって見られてるのも驚きでしたね。アジア人だからヨウジヤマモトの服を着れるのは間違いないし、ドレスはあまり向いてないってイメージがあるんだろうけど、わたしはマルチにできるのが一番いいなと思ってる。自分の内面的な個性は仕事では出しませんね。実際クールに見られがちだけど中身は全然違う。前に日本のドラマに出た時に、監督に“お前は喋るな、喋ると優しくなっちゃうからイメージと変わる”って言われたこともあるくらい(笑)だからデザイナーやクリエイターの世界に出来るだけハマりたいです。そう考えるようになったのは最近になってから。そういう意味では今意思を持ってやってるかな。

 

・今後はどんな活動をしていきたいですか?

—モデルとしてもっとプロフェッショナルでありたい。あと演技をやりたいです。どこか非現実的な物がエンターテイメントとしてベースにあるものだったら日本でも出演できたらなと思います。全然違うんですが、結構昔から健康オタクで2年前にアーユルヴェーダを知って、東洋医学にたどり着いたんです。手に職がある人達って、何か直に人にしてあげられることが多いじゃないですか。でもモデルという仕事は直に何かしてあげられるものではなくそれが悔しくて、東洋医学に出会った時、これだと思いました(笑)ちゃんと勉強して、アドバイザーみたいなことが出来ればいいですね。意外と東洋医学ってアメリカの方が進んでるので、モデル業と同時進行でNYと日本の架け橋として何かできたらいいな。モデルとしてのキャリアは今年で11年目。NYに来てからの3年間は葛藤が多かったけど、この職業をやってることに感謝したし、憧れを持ったし、楽しくなった。25歳ってモデルの世界だと中堅もいいところなんだけどアジア人は若く見られるし、これからは二十歳くらいの勢いで頑張ろうって思います!

Anna Kanehara_13

PHOTO_Ena Kitamura

 

■Donna Models

http://www.donnamodels.jp/



CONTENTS