Model カロリナ スペシャルインタビュー「そのままの自分に自信を持って」
CAROLINA(Instagram: carolinakaneda Blog: CAROLINAの”エロイ”一言 WEB: ckkn)
H 170cm(irving所属)
PHOTO_Ena Kitamura
・ カロリナさんってどんな人間?
—常にシンプルがいいなと思ってるけれど実際は複雑な人間だなって思う。でも落ち込んでても人の前では明るく居られるし、どちらかというとポジティブ思考。よくぶっ飛んでるって言われて、自分自身もずっとそう思ってたけど、ここ最近意外とそんなことないなって感じてる。何をしてても責任を感じるというか、楽しいことに対してもすごく真剣に考えるし、一通りなんでも考えてからやってるかな。そんなに話したことない人からも結構相談を受けたりして、そういう時にも絶対テキトーには言わないで、その人を観察して性格をちゃんと考えた上で答えるようにしてる。それをフォローするかしないかは相手次第。例えばだれかが私がアドバイスしたことを活かしてダメだった時、あんたのせいでこうなっちゃったって言われたり、どう返ってくるかわからない。だからそれくらいしっかり考える責任って自分では普通だと思ってる。それから何事にも結論を出す人。アンサーがないとスッキリしないタイプで、無理矢理でも結論を出す。だからと言って結論を出してもそれが一年後には変わることだってあるし、出す結論がいつも正しいわけじゃない。でも始まりがあるものは終わりがあるから、必ず結論ってあるんだよね。
・カロリナさんのルーツは?
—父がブラジル人で母が日系ブラジル人で両親はブラジルに住んでる。小さい頃ブラジルに住んでていて日本の学校に転校してきたから、家ではブラジル文化、学校では日本の文化の中にいて、幼いながらに色々考えて育ったかも。でも今のわたしがいるのは出身地とか関係なくて、お母さんの存在が大きいかな。お母さんはすごく強い人で、何か問題が起こっても「どうしてそうなったんだろう」ってそこをいつまでも考えるんじゃなくて、「じゃあ解決方法を見つけよう」っていう考えを持っている人。小さい頃からそんな姿を見てるから、わたしにとってもそれが当たり前の考えになってる。物事を解決するにはいろんなやり方があるけど、彼女のその考え方は魅力的だし、自分にもそれが合ってるかな。とにかくお母さんの影響がすごく大きい。本当は毎年帰りたいんですけどなかなか難しいですね。
・子供の頃はどんな子だった?
—もともとはアクティブで明るい子。学校で仲良しグループが決まってても気にせず誰とでも話してた。でも意外と一人遊びが多かったし、すごく恥ずかしがりやで、とにかく人前に立つのが苦手。話すことはもちろん、立つだけで顔が真っ赤になって泣きかったくらい。小学生の頃、帰りの会で前に立たなきゃいけない当番が回ってくると、逃げて早く帰ったこともある(笑)恥ずかしがりやじゃなくなったのには何かのスイッチがあって、仕事を始めて、いつの間にか正反対になってた。そのままの自分でいること。それを信じていたら、全然恥ずかしがることないなって。そこがぶれてると、人に言われたことをすごく気にしちゃうけど、自分を自分できちんと受け入れていれば、誰が何を言って判断されようが関係ない。とはいえ毎日そんな強気じゃないし、アップダウンはすごく激しい。でもダウンした時こそ、自分はこういう人だって自分に言い聞かせてカバーするようにはしてる。
・そのスイッチがカロリナさんを大きく変えたんですね
—覚えているのは、初めての撮影の時はすごく緊張して、もうどうしたらいいかわからないで周りをキョロキョロ見て固まっててたんだけど、いざカメラの前に立ったら恥ずかしくなかったんだよね。それから最近では、自分が逃げられない環境にいるのもあるけど、逃げたくないって気持ちがある。自分の苦手なところを成長させるには、自分と向かい合わなきゃいけないからね。一回、初めてイベントでMCアシスタントをやったんだけど、わたし台本をフォローするのが一番苦手で。だからその仕事をもらった時にどうしよう無理かもって思ったの。でも時間を掛けて考えて、とりあえずやってみようってトライすることにした。もう超緊張したし、あとで反省する部分もたくさんあったけど、もう一回やりたいなって思った。あとはやってみたからこそ、自分はどういう立場が向いてるんだろうっていうのも見えた。つまりフォローするよりは、メインMCみたいに盛り上げる方がわたしには向いてる!自由なのが好きだからね(笑)
・つまり自由人ってこと?
—何事もルールがあるものは好きじゃない。こうやらなきゃいけない、こうやりなさいって言われた瞬間にやだって思っちゃう(笑)決められたルールを守って出来る人って、時と場合によってすごく魅力的だけど、人生をロングランで考えたら時間を無駄にしてるなってわたしは思う。ルールをフォローするだけっていうのは、誰かが決めた、作ったものの上を歩いてるだけで、それが自分だとは言えないかな。例えばよく「カロリナちゃんみたいに歩くにはどうすればいいの?」って聞かれたりするけど、そう聞かれてもわたしが教えるのはベースの部分だけ。基本の歩き方から色んなパターンがあって、それをどう人と違うように魅せるかは自分の個性。だから「自信をもって歩かなきゃいけない」って答える。じゃあどういう自信かっていったら、自分を持つっていうこと。色んな経験があってそれが自信に繋がるから、何かのルールブックをフォローするんじゃなくて、自分でルールを作る。それをぶつけて見直してっていうのを繰り返していけば必ず自分っていうのができるんだよね。自分ができれば内面の個性も出るし、オーラもできる。それで魅力的な人になれると思ってる。
・カロリナさんからもすごくオーラを感じますが、実際オーラって何でしょう?
—みんな見た目のことを気にしてるけど、オーラって見た目じゃない。化粧していい服を着たからって出てくるものじゃない。オーラっていうのはオーロラみたいなもの。人間のオーラは感覚で感じるものだから目に見えないけど、その人のオーラとかエネルギーはかならずあるし、色も付いてる。いいものを持っていれば感じるし、悪いものも感じるよね。わたしがかっこいいな、とかいいなって思う人って業界内ではモデルじゃなくてクリエイターの方が多い。もちろん、まず最初は格好で引かれるんだけど、全然知らない人でも雰囲気とかオーラが伝わってきて興味を持ったりする。そしてその人を知っていくとやっぱり芯がブレていないのが分かって、かっこいいなって思う。
・長くモデルをやってきて学んだことって?
—やらないで後悔するよりはやって後悔したほうがいいって考えを持っていた時もあったけど、最近は本当にバランスを見て考えてる。挑戦して失敗して、それを後悔して生きるほうがいいのか、それともトライしないで、ずっとクエスチョンマークがついたままの方が自分は気持ちいいのか。あとは“そのままでいる”ってこと。前に自分に時間を与えて見つめ直したことがあって、仕事はもちろんやったけど、極力人とは会わず、すごく静かになって考えた。その時から考えが変わって、今まではモデルってお仕事は撮影現場では常に明るくいなきゃいけないっていう責任感があったけど、必要以上にそうする必要もないな、自然体でいいかなって思うようになった。わたしがいい顔を出さなきゃいけない時間はカメラの前に立つ時で、そこではどんな嫌なことがあっても絶対に出しちゃいけない。でもカメラアウトしてる時は頑張ってしゃべる必要もないかなって。あとは逆に、撮影によってすごくダークな感じだったらもうそこに全てを出したり(笑)自分の人生の経験を現場で活かせるっていうのは、この仕事のいいところの一つ!
・モデルというお仕事はどんな仕事?
—モデルって、カタログも雑誌もショーもなんでもやる。モデルは子どもの頃からの夢で、ずっとショーに出たかったけど、撮影も楽しかったしムービーも大好きだと思ったし、わたしは幅広く出来ていいなって思う。 映像は動いてるから寂しい表現をしようと思ったら仕草だったり涙だったり顔が暗くなってそこから泣いて、大きく行動を取れる。でも写真って一枚でそれを伝えなくちゃいけないから余計難しいけど、だから面白い。なんで泣いてるのか、悲しいからなのか寂しいからなのか嬉しいからなのか、それとも怒ってるからなのか。それを表現するには“目ヂカラ”、目の演技力ってすごく大事。ポーズや動きで表現出来ることが多いけど、顔の表情って本当に大事。大きく言えばそこが違うのかな。でも不思議なのは、現場でこういうことを意識してるかって言われたら全く考えてない。慣れもあるけどわたしの場合、結構昔からこうで、それってうまくなるものじゃないって思ってる。勘がよくないとこの業界では難しいんじゃないかな。
・すごく特別な能力が必要ってことですかね
—よく考えると、普段やってることと同じことなんだと思う。「カフェ行こうよ」って言われて返さなきゃいけない返事って 「うん、行こう」か「ごめん行けない」のどちらか。次に「どこにする」って話が進んだら、その人が好きそうな場所を考えて「じゃあここどう?」って投げかける。モデルの場合もやってることは同じで、相手が求めることに対して自分が一番いいと思うものを差し出すってこと。これはこの業界だったらモデルだけに限ったことではなくて、ディティールはスタイリストさんや、メイクさんだったり。たとえばメイクさんに「ナチュラルな感じ」って言ってもナチュラルにも色んな種類があるけど、勘のいいメイクさんんは「なるほど、じゃあ衣装見てもいいですか」ってその人を一番うまくいかすナチュラルメイクを考える。そしてモデルは飾り付けられたものを一番よく魅せる。それが自分のやるべきこと。そこを怖がって、どう思われるんだろうと思ったら出来ないし、結果出来ない子って判断されちゃう。チャンスはその1回しか与えられない厳しい世界だし、逆にそこでうまくできればチャンスも増える。昔、撮影中に「もっとこうして」って言われたことがあって、最初そう言われたとき「これだめなの?」ってイラっとしたけど、後から分かったのは、それはダメなんじゃなくて、もっと活かそうとしてくれてるだけだなって。
・自分の強み、弱みってなんですか?
—たまにこのせいで損してるなと思うのは、自分の意見を人にハッキリ言っちゃうところ。モデルって撮影日にしか出ないけど、スタッフはそれまでに色々考えて決めたりしてる。だから最近は思ったことがあっても、少し控えめに言ったりしてる。自分自身がクリエイターになって思ったことは、一度決めたことでも新しい意見がいいと思えば変えればいい。でもこっちが本当にいいと思ってることを変えようとされるのは嫌だなって。でもいざ自分が入ると悪気なくそういうことしちゃったりする(笑)逆にそれが強みにもなる時もあれば、弱点に繋がることもあるよね。自分のいいところを言うのって難しいけど、単純に長所でいうと“見た目”。今の日本のマーケットに対しては損してるっていうくらい個性的かな。あと一つ言えるのは、身長が高くないけどそれをマイナスだと感じさせないところ。もうちょっと身長あったほうがよかったなって言われることがあったら、たしかにそうかもしれないけど、身長ある何千人の子より、わたしがこの仕事に与えられることの方が大きいよって(笑)
・「ckkn」というブランドもされていますが、クリエイターとしての活動はどのくらい?
—3年前くらいに初めてコラボをさせてもらったことはあったけど、「ckkn」としてはまだ1年半ぐらいかな。去年の春夏コレクションから「Royal」というブランドとコラボレーションすることが決まってそれが「ckkn」を立ち上げることにしたきっかけ。
・なぜコラボレーションというやり方から始めたの?
—ブランドを立ち上げるにはどうすればいいんだろうって悩んでた時、とりあえずいろんなところとコラボレーションをしてみようって思ったの。洋服づくりで学校に行けなかったから分からないことも沢山あるけど、それが逆に良いプレッシャーになってて、学びながら「勝負」っていうのが凄く自分にあってるの(笑)
・実際の服づくりはうまくいった?
—そうね。上手くやってることを信じたい!まだコラボレーションの形でしか商品を出してないから、オリジナルラインを出すまではまだまだ経験を積んでいかないと行けないと思ってる。今は、とにかくマイペースでブランドをやって行こうって思ってるね。
・シンプルなスタイルって日本人には難しくない?
—世界中どこ行ってもだいたいの国の人は“Tシャツにジーンズにスニーカー”。そういうスタイルは日本ではハードル高いって言うよね。でも海外の人の方がオーバーウェイトだし、何が違うのかって言ったら自信なの。自分を持ってるってこと。パーツの違いはあるけど、 日本でも海外でもそれは変わらなくて、自信持って着てるか着ていないかってことじゃないかな。特に日本ではリスクを負わないようにトレンドをフォローしたほうが楽、っていう考えがあるけど、人生ってリスクを負わない限り上に進むことってない。リスク追わない人は上がっていけないから、色々挑戦してみてほしいよね。
・「ckkn」の洋服に込められたメッセージは?
—洋服が大好きっていうのはあるけど、単純に何か人のためになることをしたいだけ。ずっとそれがボランティア活動だと思ってて、いつか平凡な仕事をして休みができたらどこかへ行ってボランティアをしたかった。へんな話ほかのことをでもよかったの。でもたまたま自分がこういう環境にいたから、洋服を通してもっと女性に自信を持ってもらいたいなって思った。個性的なファッションが注目されるいまの時代だからこそ、実際中身が大事。 外側はマスクだから内側から変えないと、それを脱いで素になった時、あなたには何が残る?見た目はそこまで頑張らずに、素のままでいていいんじゃないって。それがその人の一番いいところを引き出してくれる。オシャレしてメイクするっていうのは半分くらいは自分のためだけど、残りの半分は周りの反応を気にしてやっている部分がある。周りがOKって言ったらそれが自信に繋がるかもしれないけど、ちゃんとした土台がなくてずっとそこに頼ってたら絶対どこかで崩れちゃう。自分自身の土台を作りたいなら、良いところも悪いところも全部受け入れなきゃいけない。 そしたらちゃんと一個一個の自信に繋がっていくと思うの。だから“内側から磨かれるような服”っていうのがckknのコンセプト。そういうメッセージ性のある服を作りたい。
・ブランドをやる上で大事にしていることは?
—私自身が”好き”って思うモノを造ったり、自分らしさをデザインに出すことも大事だと思うけど、結局買ってくれるお客さんが「これ、いいな!欲しい!」って思ってくれないとブランドをやる意味がないと思う。だから、常にデザインしてる時は誰でも着れるような服を作ること・着る人が「ckkn」の服を自分のモノ・自分の色にすることが出来るようなデザインに心がけてるね。
・「ckkn」のウェブサイトでも女性へのメッセージを発信されているようですが?
—女性に向けてインタビューコーナーを始めた理由は、日本の女性にもっと「自分らしくいてほしいのと、自信を持ってほしい」という願いがあるから。インタビューしてる人たちはあくまでも私個人が魅力的だなって思う人たちで、そこで彼らから読者のみんなに対して一つでもためになるメッセージがあったらとか、世の中には様々な人がいて、その人たちのいろんな考え方をシェアしていけたら良いなと思ってる。
・今後の活動について
—まずは、人として毎日何か一つ新しいことを学ぶこと。そして、一つでも成長すること!あとはモデル・クリエーターとして、もっともっと幅広く活躍しながらそれを人のためになるようなことに繋げていきたいね。
PHOTO_Ena Kitamura
■irving(アービング)