Model YUKIHIDE スペシャルインタビュー ~ミラノコレクションに挑戦して~

Model YUKIHIDE スペシャルインタビュー ~ミラノコレクションに挑戦して~

YUKIHIDE(Instagram: yukihide_harada

H 186cm / C 95cm / W 76cm / H 84cm / S 27.0cm (BARK IN STYLE所属)

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PHOTO_Ena Kitamura

 モデル業界では快挙といえるミラノコレクションで、ジョルジオ・アルマーニ、エンポリオアルマーニのショーでのランウェイデビューを果たした、モデルYUKIHIDEさんにインタビュー。

 

・いつからモデルというお仕事をされていますか?

—2年弱前くらいですね 。12月に22歳になったのですが、高校を卒業して、実家の香川から4年前に上京して、学校を卒業してから本格的にやるようになりました。学校では文化服装学院で鞄を作っていて、もともとはモデルよりもそっちで考えていたんです。でもある時メンズノンノモデルの募集で最終候補に残って、結果はだめだったんですけど、その時、今の事務所に所属していた先輩に事務所を紹介されてやってみようかなあと。

・今回が初めての海外のショーではなかったとか?

—去年の5月にシンガポールで歩きました。その時はまだ学生生活もあって、モデルとしても中途半端だった時ですね。もうしごかれましたよ。厳しい指摘を受けて、かなり揉まれました。でもそこがターニングポイントだったんです。そこから真剣にモデルを取り組みましたね。それがないと今の僕はいないと思います。

・その時、いまのスタイルでやっていくことに決めたのですか?

—モデルって僕が思うに、素材感でイキナリ出てこれる子と、写真とかを自分で集めて伸びる子との2種類だと思うんですよね。もちろん素材感がある子が努力してないとかじゃなくて、その子なりにしっかり上がってきた資料をもとに向いている方向を探しながらやってるってイメージですけど。自分のキャラクターはファッション寄りだったので、そっちに作り込もうと決めたのも、シンガポールからですね。

・ 今回の滞在スケジュールは?

—まず、パリでキャスティングして、その後ミラノでキャスティング、ショーを二つ。ショー最終日にまたパリへ戻り、その後ロンドンに事務所決めと作品撮りのために行きました。

・海外に挑戦しようと思ったキッカケは?

— シンガポールから帰ってきた時点で、もう行かないといけないと思いましたね。やっぱり自分もファッションの仕事がしたくてモデルになったんですが、いまの日本はハイファッションの仕事がすごく少ない。シンガポールに行って意識が変わって、それから半年、作品撮りや体造り、メンテナンスなど自分のできることをしっかりやって、今回挑みました。

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PHOTO_Yuta Fukuda

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PHOTO_Tomoaki Nakatsuka

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PHOTO_Masahiro Koguchi

・ 実際に歩くと決まった時はどんな気持ちでしたか?

—向こうでは前日キャンセルとかも全然あるんで、決まったっていうのは歩くまでわからない。最後まで決まった気分ではいれないんですよ。日本みたいに甘くなくて、歩く直前に全員並ばされて、やっぱり君いらないってキャンセルされた話も聞いたことがあるので、歩くまでは気が抜けない。期待しすぎるとだめだったときの落胆が大きいので、あんまり期待しないように、でも緊張はあんまりせず楽しむようにしました。

・現場で他のモデルを見ての印象は?

—白人モデルのいいところは、完全にマネキンになりきれてイメージを崩さないところ。その点アジア人は個性が出やすいから、それがハマるブランドの場合はいいけれど、ブランドによっては白人だけのほうがいい場合もある。あと、あるブランドのオーディションで、みんな190cmくらいで自分とガタイが全然違ったのには驚きました。日本人は自分だけ、一番小さくて細くて、もう帰っていいよみたいな感じで(笑)やっぱりブランドによって、求められることが全く違います。自分も日本のオーディションでは「デカイ」の一言で終わることすらあるのに、一番わかりやすいカルチャーショックでしたね。

・アジア人モデルの印象は?

—中国とか韓国、彼らはやっぱりプロ意識が高くて、同じアジア人でも大きい広告をやっていたり、作品撮りのレベルも違うから刺激を受けます。どちらも国内でハイファッションが発達していて、自国のモデルを使ったハイファッション雑誌のエディトリアルでアピール出来るのが強み。日本人は、日本での仕事をあまり持っていけない。日本は特にマーケット的な考えが強くて、“かっこいい”と“欲しい”は別物。モデルよりも、タレントや読者モデルの露出が多い。もちろんそういう選択がいい時もあるけれど、プロのモデルを使わないとハイファッションがどんどん衰退しちゃうと思うんです。だから世界的な広告をやってるモデルさんは世界に出て行っちゃうんですよね。

・日本やシンガポールとは違ったことは?

—やっぱり第一線でモデルをやっているという感じがしました。そして街全体がファッションウィークで盛り上がってる印象です。日本ではモデルに限らず、いいブランドもデザイナーもどんどん外に出て行ってしまう。NYコレクションではブロガーの入場規制がされましたが、東京コレクションでは学生が簡単に入れてしまう現状。一般に知られるという意味ではいいかもしれないけど、きっとブランドが本当に見てもらいたいのは、彼らではないのでは?と思うんですよね。

・向こうで何かハプニングはありましたか?

—本当は2人しか住んじゃいけない宿のルールを理解してなくて、モデル仲間と3人で住んでいたところ、それがバレて1時間後に出て行けと追い出されました(笑)日本に帰ってきて、コトバが通じるってここは天国かと思いましたね。僕たちはタレントじゃないから、 宿も飛行機も手配してお金も払って、全部自分でやらなきゃいけない。トラブルも自己責任。向こうの事務所を決める段階から自分一人。 今回ロンドンには事務所探しに行ったんですけど、それも事前に自分でアポ取ったりして。表に出るから派手に思われがちだけど、実際は結構大変なんですよ。

・日本に帰ってきてから変化はありましたか?

—まったくですね。もちろん顔見せとかは行きやすくなりました。向こうに行って帰ってくることによるメリットは、ネームバリューというか、「こいつは海外行った上に結果を残してきた。」というのがあれば食い付いてくれる人もいる。たとえば日本での取り上げられ方の「元パリコレモデル」とかは、半年も経てば現場ではもう既に過去の話。今はこんなに日本人が歩いていたり、挑戦しているのをもっとフォーカスしてほしいですね。

・自分の意識的に変わったことはありますか?

—世界のモデルを見て、自分のプロとしての意識が甘いなと感じました。海外のモデルは、ハイブランドや有名なエディトリアルの仕事を沢山やって来るので、日本で単にお金貯めて行くのじゃ通用しない。日本にいる間に、いい写真を撮って体造りもできていて、なおかつお金もちゃんと貯めている。そんなモデルが海外で残るんだと思います。初めはどんな仕事でもだいたい取れて、次からも呼ばれる人はプロフェッショナル。そこで呼ばれるか呼ばれないかが分かれ目じゃないかな。海外に挑戦するのはリスクもあるけど、行き続けることに意味があるんだと思います。

・今後の活動予定は?

—年に2回のコレクションシーズンは、絶対挑戦しようと思います。あと4ヶ月でまたすぐに次のシーズン。前シーズンのことはもう過去の話になってしまうので、この期間、向こうで感じたことをきちんとカタチにして挑みたいです。あとは、日本にいる間は自分の名前を売っていく、PRを大事にしたい。今、モデルと読者モデルの境界線が曖昧。プロだからもちろん、写真の仕上がりでは負けてはいないけど、彼らの影響力とPR力を僕らも持てたらそれに超したことはないと思う。そして写真のクオリティをあげること、それから体造りですね。

・どんなモデルを目指しますか?

—自分みたいなタイプが向こうで歩くのは珍しいことで、よくハーフ?とかどっから来たの?と聞かれることがあります。現場で使われるアジア人モデルの多くは、“ザ・アジア顔”。自分は日本人だけどバックボーンがわからないっていうのを売りにした方が受けるのかなと思います。他と違う方向でやっていかないと勝負できない。最終的にはブランドの広告とかを狙える、そんな雰囲気を持ったモデルを目指したいですね。

 

■BARK IN STYLE

http://www.barkinstyle.jp/



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