今のパリが示す、「時代を映す鏡」としてのファッションの役割

過去18ヶ月の間に起きたテロ事件の影響で、パリを訪れる観光客は激減しています。今のところ、LVMHやKeringなどのフランスのラグジュアリーブランドの売り上げは、さほど落ちていないよう。(中国人様様です!)

実際に住んでいる者からすると、正直街は何の変哲も無いし、日常生活で恐怖を感じることはありません。「今まで通りの日常生活を送る」ことこそが反戦への表明であり、テロリストに屈しないというフランス人なりのやり方。

奇しくも“テロ先進国”になってしまったフランスだけど、マイナスの感情をプラスに変えることのできる才あるデザイナーが数多く存在することは、この国の強み。それは今現在ではなく、歴史を見るとよくわかります。

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私はパリの美術館でモード史の展覧会へ足を運びました。ガリエラ美術館の「ファッションの解剖図」や、パリ装飾美術館の「Fashion Forward」展では過去300年の服飾の変換を展示しています。

息を呑むような美しいドレスが展示されていることは言うまでもありませんが、改めて感じたのは、ファッションは呼吸するように生きているということ。止まることなく変化する。それも絶対に後退はしない、常に前へ進み続ける生き物です。

小さな進化、大きな変革、時代に応じてスピードは変わりますが、常に変化し続ける。私たちの考え、行動、人間関係が変化し続けるのと同じように。

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纏うものが一つのパーソナリティとなり、アイデンティを確立する手段、どこかに属している自分、時にはどこにも属さず自由と解放を求める女性の残像となる。

コンプレックスがあるからこそ美しく見せる洋服を着たり、機能性と合理性を重視した制服にも遊び心を加えてみる。ポジティブな面に焦点を当て、少しでも美しく楽しく!ファッションが担う役割も時代とともに変化しながらも、そこには時代時代の女性の思いや生き方が表れています。

表層的であるからこそ、作り手も理想論や無謀な望みをファッションを通して表現することができるのでしょう。

印象的だったのは、どちらの展覧会も、最後のブースの一番最後の展示はCOMME des GARÇONS、Issey Miyakeと日本人デザイナーのドレスだったこと。ガリエラ美術館の館長は、三宅一生の『服の50%はアトリエで作り、後の半分は着る人が仕上げる』という考えに同意して、いかにファッションが生活に密着し、その人自身の人生、生き方そのものを足跡として残しているかを伝えたかったと述べていました。

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困難な時代を乗り越えていくために、今一度過去を振り返り学ぶべき時だと、各展覧会を通してファンションが語りかけてきているようでした。

目指す場所や望む未来は違ったとしても、それぞれの道でそれぞれの方法で、より良い場所へ辿り着くことはできるはず。少しでも大きく深く消えることのないハッピーがある場所!

少なくとも私自身が今日1日をハッピーで過ごすためにはどうしたらいいだろうと自問した時、着たい服を着てなりたい自分でいること!と即答しました。(笑)きっとRetoy’s読者のファッション好きの人は共感してもらえるのでは?

他人や世界なんて気にせず!ただ自分自身と向き合い、自分をハッピーにしてあげたい。一人ひとりのハッピーがやがて大きなハッピーになり、希望になることを信じて…。

テロには屈さず、私は今日も着たい服を着て、パリで日常生活を送ることにします。

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