デザイン ディレクターのシモーネ・ベロッティ就任後初となるBALLY 2024年春夏コレクション「Sketch of Summer」は人間の本質を映し出す二面性のコンセプトを取り入れる
デザイン ディレクターのシモーネ・ベロッティ就任後初となるBALLY(バリー)2024年春夏コレクション「Sketch of Summer」。ミラノのサン・シンプリチアーノ教会の格式ある庭園でのショーを通して、1851年の創業以来BALLYが培ってきた、実用的なラグジュアリーに満ちたクラフトマンシップと伝統のコントラストを象徴している。精密さと自然の有機性、厳格さと柔らかさについての考えがそこに表現されている。チューリッヒの街並みからアルプスの風景まで、スイスのアイデンティティは多岐にわたり、そしてそこには純粋さがあり、破壊的、学問的で本質的な遊び心が存在している。
コレクションはクラシックなデザイン原理を現代の生活という新しい文脈に置き、20世紀初頭、スイスのアスコーナに定住したオルタナティブな知識人やクリエイティブな人々が集うユートピア、モンテ・ヴェリタの精神に通じる落ち着いたエレガンスから出発する。自然環境と全身で交わるために都市の重圧を拒否する彼らの自由主義的なアプローチは、文学、ダンス、絵画、パフォーマンスの文化的革命だった。今回、ベロッティは1987年のイビサ島でのSummer of Loveムーブメントを自由奔放なバレアリックなサウンドで飾ったDJ Leo Masがこのコレクションのために特別に用意したサウンドを通して、モンテ・ヴェリタのボヘミアンな活気を思い起こさせる。
マスキュリンとフェミニンなワードローブが融合した2024年春夏コレクションは、ベロッティの「いくつものレイヤーを持つブランド」というブランドビジョンにインスパイアされ、人間の本質を映し出す二面性のコンセプトを取り入れている。スイスレッド、コバルト、シャルトリューズが、ニュートラルなパレットの中で輝き、都会的な統一感とアルプスの植物の柔らかなニュアンスの両方を呼び起こす色彩が広がっている。形、シルエット、布の親しみやすさが、縮小されたプロポーションとシンメトリーでの遊びを通して、強調されては弱まり、ドライコットンやリップストップ、ポプリン、ジャージー、タフタ、ポワンテル、ポリッシュドレザーによる、ドレープとスウィング、爆発的なボリューム、控えめな魅力といったジェスチャーが、豊富でありながらも軽やかなタッチで表現されている。
BALLYの172年にわたる上質な靴作りの伝統に根ざしたアーカイブモデルが新たなスタイルの柱として再登場。ポインテッド・ヴァンプのバックル付きフラットのGlendale(1923年頃)、バーニッシュド・トゥのScribeオックスフォード・レースアップ(1951年頃)、スタッズのディテールを施したBallyrinaフラット(1940年頃)などのアーカイブを見直し、さらに洗練させることで、クラシックなフォーマルシューズのスタンダードに現代的な精密さを吹き込んでいる。ポリッシュ仕上げの「アッペンツェラー」タリスマンベルトやツールドレザーベルは、いずれもスイスの習慣へのオマージュ。旅行鞄とハンドバッグは、ポリッシュドカーフスキンとゴールドのチェーンで仕立てられたストラクチャードブリーフケースやフレームパース、BALLYのリボンと紋章で縁取られたソフトキャンバス地のメッセンジャーバッグやウィークエンダーバッグの両方が並び、ここでも二面性が象徴されている。
■BALLY