日本を代表する映画監督である伊丹十三による映画「タンポポ」が大きなイメー ジソースとなったAKANE UTSUNOMIYAの2024年春夏コレクション「Energy」
デザイナーの蓮井茜が敬愛する日本を代表する映画監督の伊丹十三による映画「タンポポ」が大きなイメージソースとなるAKANE UTSUNOMIYA(アカネ ウツノミヤ)2024年春夏コレクション「Energy」。80年代特有の自由を謳歌する人物像や、湧き上がる欲望、エネルギーに満ち溢れた時代背景を物語るようなポップさと混沌さといった当時の情景を、どこまでもシリアスにならない、温かな描写で映し出される映画から、蓮井による解釈により、大胆なシルエットのニットや生命力を連想させる花や猫のテキスタイルなど、初めての試みとなる、織りや染色加工の技術を含め、エネルギーに満ち溢れた豊かな表現へと昇華されている。ポップさを交えたタンポポの柄は、柔らかなタオル素材にはプリントを施し、ストレッチデニムには刺繍を施すことで、その独特の生命力の象徴として表現されている。艶やかな表情のシルクキュプラにプリントされた「Nanami」と名付けられた猫柄は、子猫の時から大きな声でよく鳴く、デザイナーの愛猫をモチーフにしており、誰に構うことなく、しなやかに人生を切り開く女性像の面影に重なっている。対照的なボディーバランスと素材感を掛け合わせる事で、新たな強さを提案する今シーズンは、ストレッチ性の強いリブニット、肩のラインが大きくカッティングされたジャージシリーズ、センシュアルな印象のシアードレス、タイトなストレッチデニムなどが登場。ボディーラインの強調とは相反する様に、丸みのあるシルエットの撥水素材のアウターやハンドニット、クラッシュデニムのアイテムは、絶妙なバランス感で魅せるスタイリングとともに、どこかモダンな印象を与えている。コレクションを印象付けるカラーパレットには、映画にも描かれる夜の車窓からの景色を思わせるような、ブラックにビビットなグリーンやブルーが差し込まれている。猫柄にはオレンジやレッドなどを用いることで、まさに「Energy」を象徴する色調として表現されている。今までになかった新しい加工の試みから、じゃばらプリーツを施したボリュームのあるプリーツスカート、縮絨をかけたシュリンクシリーズ、和のムードを感じさせる絞り染めのワンピースが登場。これらの試みは、ブランド始動当初より、テキスタイルや素材に拘り続けてきたデザイナーのものづくりの姿勢を表すと同時に、新たな境地へとアップデートされていくコレクションの有り様を象徴づけるものでもある。
■AKANE UTSUNOMIYA