Max Mara Resort 2023 Collection「Vai lenço feliz(ヴァイ・レンソ・フェリス)」ナタリア・コレイアのスピリットを蘇らせ激動の20世紀半ばにおけるポルトガルの芸術、文化、政治への貢献を称える #MaxMaraResort23

ⒸDANIEL FARO

Max Mara(マックスマーラ)2023年リゾートコレクション「Vai lenço feliz(ヴァイ・レンソ・フェリス)」は、世界有数の個人所有のコレクションを誇るカルースト・グルベンキアン美術館にて、亜熱帯植物が繁茂するその庭園にサンセットが訪れる中で開催された。ニキアス・スカピナキスの作品のなかに、知識人、詩人、社会活動家であったナタリア・コレイアと彼女の足元に座る二人の女性を描いた一枚の絵がある。本作品を出発点に、コレイアという素晴らしい女性のスピリットを蘇らせ激動の20世紀半ばにおけるポルトガルの芸術、文化、政治への彼女の貢献を称えるコレクションが誕生した。マックスマーラが独自のフェミニズムを提唱しているように、コレイアが説いたフェミニズムも独特。フェミニズム運動の”政治的に正しい”フォーマットに対抗して、コレイアは官能性と情熱的なフェミニニティを強く訴えた。コレイアの「アントロジーア・ダ・ポエジーア・ポルトゥゲーサ・エロティカ・エ・サティリカ(性愛・風刺ポルトガル詩選集)」は、当局からスキャンダラスだと非難されたが、彼女はひるむことなく抵抗した。このエピソードは、伝統的なドレスに見られるギャザースカートのように、より官能的で曲線を強調するシルエットのインスピレーションとなった。膝下丈のセクシーで官能的なシースドレスは、コレイアも参加していたような、知識人が集うパーティーにふさわしい装い。本コレクションにはロングドレスに似合う、アイコニックなコートも登場。コレイアは、リスボンの知識人の中心的な存在だった。先述のスカピナキスの絵に話を戻すと、コレイアの足元にいる二人の女性は、詩人のペルナンダ・ボテリョと、クラシック音楽の著名なピアニストであるマリア・ジョアン・ピレシュ。コレイアの自宅や、彼女自身が開いたバー・ボテキムは、ヘンリー・ミラー、グレアム・グリーン、ウージェーヌ・イヨネスコといった海外の友人たち、あるいはファドの女王と呼ばれたアマリア・ロドリゲスのようなポルトガルのレジェンドたちが集う場所だった。舞台に立っているロドリゲスの写真を見ると、彼女がプリーツを愛好していたことがうかがわれる。ハリのあるタフタのプリーツを段々に重ねた衣裳、裾が床につくビスチェドレスや、裾の下からプリーツが大きく広がるペンシルスカートなどは、ドラマチックなジェスチャーを完璧に引き立ててくれる。恋情と切望を歌うファドを聞くと、外向的ではなく内面で燃えるようなナタリア・コレイアのカリスマ性は、ポルトガル人の精神性と連動していることを改めて気づかせてくれる。ファドと並ぶポルトガルのもう一つのロマンチックな伝統は若い女性が恋焦がれる男性にあてた愛のメッセージを、刺繍で描くレンソス・ドス・ナモラドス(愛のハンカチーフ)。レンソス・ドス・ナモラドに見られるナイーブかつ凝ったスタイルで描かれたハート、花、鳩は、マックスマーラのプリントやクリスタルガラスをちりばめたドレッシーなブローチに落とし込まれている。マックスマーラは地元の職人とのコラボレーションにより、独自の愛の詩をつづったレンソスをアプリケしたTシャツを制作。こうした愛の詩は慣習に従い、恋する人にメッセージが届いて欲しい、という心からの願いの表明で始まる。リゾート2023は、マックスマーラの愛とパワーのメッセージをお届け。”ヴァイ・レンソ・フェリス(行け、幸せのハンカチよ!)”。本コレクションのランウェイには、ポルトガル民族歌謡ファドの新世代を代表する才能豊かなシンガー、カルミーニョ、日本人モデルの美香が登場し、ショーには世界中から豪華なゲストが来場。ショー前夜には、1670年代建立の鮮やかな装飾タイルが美しいマルケゼス・デ・フロンテイラ宮殿にてガラディナーが開催され、ファドシンガーのカルミーニョが美しい歌声を披露した。本コレクション発表に際し、マックスマーラはリスボン大学とのコラボレーションを展開。クリエイティブ・ディレクター、イアン・グリフィスによるカンファレンスの実施、さらにファッションデザインコースの学生たちを対象としたコンテストの開催を決定した。優勝者には、マックスマーラ本社での6か月間の契約が結ばれ、イアン・グリフィスやマックスマーラ スタイルオフィスと一緒に仕事をしながら、コレクションのデザインやクリエイションに携わる機会が提供される。



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