”想像は、実はリアルの近道!”泉谷しげる個展「サイバーパンク展」tHE GALLERY OMOTESANDOにて開催
泉谷しげるによる個展『サイバーパンク展』が5月16(金)より6月15日(日)まで、米原康正がキュレーションをするギャラリー”tHE GALLERY OMOTESANDO”にて開催される。実は”漫画家になりたかった音楽家”と自認する泉谷が、70年代から描いてきた泉谷の頭の中にあるという妄想の世界”サイバーパンク”という、現実には起こり得ない世界を表現。今回の個展に併せて初の描き下ろしサイバーパンク漫画「ROLLING THUNDER(ローリングサンダー)」も発売となり、期間中の週末には特別イベント、米原康正プロデュース「泉谷しげる×米原康正トーク&ライブ60分」も予定されている(スケジュールやご参加の方法の詳細は@the_gallery_omotesandoで)。
今回は泉谷しげる流ユニークに生きる妄想の世界、そして表現し続けるパワーについて語ってくれた。
「俺はアナログ人間だと思い込んでいるけど、実はパソコンもAIも大好きなんですよ。でも新しいのは大好きだけど、自分でやるのはめんどくさいし、みんなに聞けばいい(笑)。別にコンピューターの世界を嫌っているわけでは全然ないんだけど、むしろアナログ感を持っている方がいいと思ってる。人間はお腹もすくもんだし、最近はみんな(AIとかに)預けすぎ。AIは本当に感情がないんだから、問題のある人はいらないと判断される。人間が怠けるために、AIに全部任せて審判まで任せてる。エネルギーを使っているのは自分なのに、パソコンやAIに任せちゃってる。決定権まで渡しちゃったら、ダメですよ。それはもうアウトだよね。
自分で勝手な格言を作ったんだけど、”デジタルはアナログで直せないけど、アナログはデジタルを直せる”。アナログってとても人を惹きつけるものだし、原始的な貢献も得られる。だから俺はどんなにデジタル化が進んでも、アナログ感だけは譲れない。
”サイバーパンク”って定義は基本的にないんだけど、自分の解釈で言うと、どんなひどい世の中になっても、人間は、その環境で楽しみを見つける。その図々しいところがサイバーパンクの精神。反面サイバーパンクの精神は大体ろくなもんじゃない(笑)人間、遠慮なんてしない方がいいし、真面目な奴ほど、自分の思った通りにできる図々しいやつを羨ましいと思ってると思うよ。俺は本当に図々しいと自分で思ってる(笑)。AI対人間ではなくて、人間対人間。だから”サイバーパンク”の世界では人間はどうであれ、宇宙をお化け屋敷にして、こんなヌメヌメした生き物いるわけないけどさ(笑)、いた方が面白いよね?だから、AIの方が人間より優れていて、人間いらないと判断して襲ってくるって想定した方が人間燃えると思うんだよね。
俺の頭の中は描き出した頃から変わってない。他のものを描こうって気にならない。頭の中にあるものが全部、これですかね。だいたい妄想家なんで、くっだらないことをいっぱい考えてる。もう勝手にストーリー作って、勝手に一人でニタニタして、よく気持ち悪いって言われたもんですよ(笑)。想像は、実はリアルの近道みたいな。想像じゃないと、こんなタッチもないからね。
今は若い人たちにとって、俺らの時代より可哀想だと思うんですよ。すごい冷静で優秀な奴らは昔より全然いるわけで、世界に行けちゃってる奴もいくらでもいるからね。年寄りがどいてやれ!若い人たちに仕事を譲ってやるべきだよね。俺はまだまだ辞めないけどね(笑)。だけど若い奴らも来れるような場所を作りたいとは思ってる。だって俺がこの世界に来れたのは、理解ある大人がお前面白いからこっち来いって言ったくれたおかげだもんな。だから、この時代に若い奴らに仕事与えられるようにってずっと考えてるよ。」
作品から人間の内側にあるパワーと、変わりゆく時代に対応する人間のユーモアさを感じる作品の数々。泉谷しげるの頭の中にある「サイバーパンク」の世界を是非会場で体験してみてほしい。
■泉谷しげる個展”サイバーパンク展”
2025年5月16日(金)〜6月15日(日)
会場:tHE GALLERY OMOTESANDO / 東京都渋谷区神宮前5-16-13 SIX HARAJUKU TERRACE S 棟2F
時間:12:00~19:00 休廊日:月・火曜日
http://thegallery-harajuku.com Instagram @the_gallery_omotesando