Y/PROJECT SPRING-SUMMER 2024 Collection 絶え間ない実験的なデザインと、汎用性と実用主義という基本概念を取り入れた表現力豊かな序曲

Y/PROJECT(ワイプロジェクト)2024年春夏コレクション。既に答えが決まっているとされることにさえも、疑問を投げかけるようなGlenn Martensの本コレクションは、Y/Projectの絶え間ない実験的なデザインと、汎用性と実用主義という基本概念を取り入れ、双方のバランスが取れた、表現力豊かな序曲。拡張され、崩されたシルエットへの探求は、衣服の起源に対する認識と先入観が捻じ曲げられるような、構造とグラフィズムの重層的な表現と調和して存在する。全体を通して、規則性への無限の変形を可能にし、その結果、重力に逆らうかのような彫刻的な表現が生まれる。その中でも、ゴシック建築、創世記、古色といった歴史的観念が、このシーズンにダークな威厳を与えている。

生地の外側には、フォイル(箔)プリントを施し、内側にワイヤーを配すことで、ダイナミックに変化するフォルムでボディから浮き立つ生地の渦や山を実現。一見、抽象化され、引き裂かれたようにも見えるアイテムでも、着る人がその気になれば、クラシックなプロポーションに立ち戻ることができる。ホック留めとスナップはスタイルに無数の可能性を引き出している。ホック留めは、ランジェリードレスやパーカーさえもまるで2枚のパーツで構成されているかのようなデティールを形造り、スナップはツートンカラーのデニムやレザーの平面を重ね合わせ、うねるような頭巾が付属したワークウェアを生み出す。流れるようなライニングに吊るされたホルターネックのテーラリングや、ダブルフェイスサテンと玉虫色のタフタのスパイラルヘムに溶け込むティアードドレスにも緊張感が続く。まるで布に焼き付けたかのようなシワをスキャンしたメモリープリントは、体の輪郭をなぞるニットのグラデーションドレスのだまし絵と呼応し、この季節の儚さと高ぶる感情を2Dで映し出している。