Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood Spring-Summer 2023 Collection「Sous le ciel de Paris」歴史的なものを使って遊び、過去を見つめ、最終的にはルネッサンス風に仕上げる #AKSS23

Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood(アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド)2023年春夏コレクション「Sous le ciel de Paris」。このコレクションは私の夢。ヴィヴィアンには説明できなかったし、私自身もよく分からず、ただ表現するしかなかった。家を出て空を見上げた時に何かが、私がどれほどパリにいたいかを気づかせてくれた。ジェームズ1世の時代を生きた優れたイングランドの詩人「ジョン・ダン」を描いた”Super-Infinite – The Transformations of John Donne”の著者であるキャサリン・ランデルは非常に優れた作家。ジョン・ダンは、服を着ることは世界に何かを要求することだとよく理解していた。全ての服は語りかける。私を欲しているとか、無視しているとか、私がこの帽子をかぶっていなかったら、私の言葉をより深刻に受け止めているだとか。あまりにも巧妙な帽子は、魅力を奪ってしまう。シャネルはこのことを知っていた。市場に行けば、人々はいつも正しい。ダンが同胞の服装を嘲るのは、彼らが求めているものの粗末さと想像力の欠如を嘲っている。そして彼は、美しさは努力なしには得られないことをよく知っていた。美しく服を装う人は、ズボンを履く前に、ラインや形、布について考え、無数の装い方を想像することに密かに膨大な時間を費やしている。ダンの身だしなみには、相当な配慮が必要だった。それは、彼の生涯を通じた作品の演劇性の重要な一つの部分でもあった。彼は、プレゼンテーション、声、見た目が、軽薄なものでなく、活用すべき武器であることを理解していた。ウィットなしには何も効果がない。ウィットとは誠実さである。ドンは、But he who loveliness within(しかし、その内なる愛らしさは)、Hath found, all outward loathes(外側にあるものを憎悪する)、For he who colour loves and skin(愛と肌を彩る者は)、Loves but their oldest clothes(最も古い衣服を愛してやまない)とも書いている。最も古い服とは、生まれた時の肌である。彼は、人生は長い旅だと理解していた。パリは文化と密接に繋がっている。歴史に対する大きな敬意によって過去と現在、そして未来をすぐ側に感じることができる。アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッドが始まって以来、私はデッドストックの生地を使用してきた。現在、棚は空っぽで、残っているのはメッシュ(通常コルセットに使われる素材)のロールだけ。唯一依頼した生地は、おそらく英国で唯一残っているシルク織物メーカー、スティーブン・ウォルターズのブロケードと、ワースのガウンから着想した星のついたシルクジャカード。私は新しいものと古いものを組み合わせるのが好き。古いTシャツやスウェット、ベストやニッカーズなど。ヴィヴィアンがいつもしてきたように、歴史的なものを使って遊び、過去を見つめ、最終的にはルネッサンス風に仕上げる。インスピレーションは突然やってくるもので、そのときそのときで、自分を導いてくれるもの。私はファッションの中に必要なものをすべて見つけ出しており、そのことに感謝している。服を着るということは、主張することであり、要求することでもある。アイリス・マードックが”幸せの秘訣は、心惹かれる人を見つけること”と残している。私にとってそれがファッションであり、ヴィヴィアン。



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