Meryll Rogge Spring/Summer Collection ドレスアップに対するカリフォルニアの⾃由奔放なアプローチから⽣まれたもの

Meryll Rogge(メリル ロッゲ)2023年春夏コレクション。見慣れた、しかし異国文化の幻想的で少し歪んだイメージ。オフでありながら魅惑的、過ぎ去った時代や過去の栄光の日の名残を垣間見ることができる。メリル・ロッゲは、アメリカーナの豊かで多彩なイメージから、詩的な間違った表現、アイコンやその他の大衆文化現象を作る決まり文句に疑問を投げかける。ヒュー・ホランドが撮影した若者のスケーターの写真は、フランシス・フォード・コッポラ監督の『アウトサイダー』のキャストや、若きブルック・シールズの象徴的なファッションキャンペーンと遭遇する。このコレクションは、ドレスアップに対するカリフォルニアの⾃由奔放なアプローチから⽣まれたもの。実⽤的なスタジャンに、ドレープの効いたシルクや光沢のあるルレックスのイブニングピースを組み合わせ、⾃然体で何気ないエレガンスのアイデアを形成。ラグランスリーブのダブルニットセーター、アスレチックソックス、ビスコースサテンにプリントされたチェッカーやストライプは、あたかもジョッキーのロッカーから⾶び出してきたかのようなデザインとなっている。オーバーサイズのバランスが、アイコニックなアメリカ⽣地にクチュール界のドラマティカルさを感じさせ、ラグジュアリーなカシミアのキャミソールは、あえてありふれたボクサーショーツに合わせており、古着のクラシックなスリークォーターコートを裏返しに着て、無造作に貴重なものを⾝につけるという独創的なアイデアもる。シャツはショートパンツに、Tシャツはスカートの上に敷き詰められ、まるで体の上に置き忘れたかのように組み⽴てられている。バカげたことが驚くほど彫刻的になり、ジェンダーの⾐服は忘れ去られたカテゴリーとなる。メリルは共感できる⽂通相⼿を⾒つけた。スイス⼈アーティスト、ベニ・ビショフとの、ペイントされたイメージと孤⽴したキーワードで構成れた、やや控えめな⼿紙は、現代の出来事を最も⽪⾁に捉えている。⽪⾁による抵抗は、理想と価値を急速に再定義するイデオロギーの転換と危機を考えるとき、服にプリントされたモットーとまではいかないまでも、対処法のように⾒える。ブルージーンズのコットンキャンバスに、ビショフはペイントブラシで直接「Do Nothing Club(何もしないクラブ)」という⾔葉を書き⼊れている。メリル ロッゲは、意外な連想から生まれるコンテンポラリーなワードローブ、かつクラシックなアイテムたちが、思いがけない美しさでよみがえる。メンズウェアのコンテンポラリーなシンプルさと、イブニングウェアの洗練された上品さを同時に取り入れ、偶然のつながりと実用的な仕立てからなる、楽しいスタイルを目指している。



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