Paco Rabanne 2023 Spring Summer Collection「ON A MISSION」表面だけでなく裏面も探求し、官能性と力強さの認識を覆す

Paco Rabanne(パコ ラバンヌ)2023年春夏コレクション「ON A MISSION」。Paco Rabanneの原点は、素材感、先鋭的なテクスチャー、無機質なシルエットへの飽くなき探究にある。本コレクションでは、ジュリアン・ドッセーナが表面だけでなく裏面も探求し、官能性と力強さの認識を覆した。未来への直感で、コレクションは未知の力に立ち向かう女性らしさの力強い投影となる。金属製の格子とスキャフォルディングは、Paco Rabanne初期のショー、アンダーグラウンドのシーンを彷彿させ、それは今にも揺さぶられそうな興奮が襲う。グランジ調の装飾は、鮮やかなグリーン、バイオレット、ブルー、レッドといったサイバー特有の色調と融合し、魅惑的でハイブリッドな空間へと変化している。透明のPVCなどのフェティッシュな素材は、マスキュリンなスーツとして、液体金属のしずくのようなスタッズで覆われたパーカーとして表現され、さらにその魅力を発する。また、花柄プリントが施されたり、クラシックなウール生地やタペストリー生地の上に取り付けられたりと、壮麗でロマンチックなPVCも登場。PVCがアッサンブラージュとシームレスに融合するとき、まるでアニメーションのようにルックが変化する。ラテックスがコレクションに加わると、作品は思いもよらない方法でトランスフォームする。第一印象の奇妙さは、洗練されたものへと変化していく。ドレスには第二の皮膚が成形され、エッジが波打つようにぼやけた色が吹き込まれ、一方でラテックスはシルクのように滑らかで軽く、複雑なレースの縁取りをあしらったスリップドレスやブードアショーツに幻影を与えている。また、金属メッシュの上にもラテックスを取り付け、Paco Rabanneを象徴する素材を再び進化させるような二面性を持っている。光沢のある表面は、質感と動きによって相殺される。ひび割れたレザーコートから、折り目がついたままのシルバーメタリックのパンツまで。チェーンメイルには、下降するにつれて崩れていくようなフリンジが取り付けられたものまで、バリエーションが豊かで、フリンジは誇張されたチュチュのような、泡のようなティアード・スカートにもあしらわれている。ボンデージは、多様な概念により定義づけられる。体を包むレザーバンドやカフスは力を与えるために着用され、ハーネスに施されたアイレットはハンドクラフトを証明。全ては「保護」という提案を基に、Paco Rabanneを象徴するアッサンブラージュのバッグ”1969”はPVCで覆われている。その一方で、グラデーション加工を施したゴージャスなドレス、くっきりとしたデコルテ、肌を露出する穴の開いたニットなど、生地やシルエットがよりボディコンシャスなルックも登場。コンバットブーツは、あらゆる状況への対応力、戦術的な目的とサブカルチャー的なスタイルの融合という、必要不可欠な姿勢を強めている。この限界的で工業的な空間の中で、ジュリアン・ドッセーナは還元主義に抵抗するというステートメントに辿りついた。本コレクションにおいて、Paco Rabanneの本質的なエレメントが、目の前で急速に進む現実に置き換えられている。



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