Mame Kurogouchi Fall/Winwer 2022 Collection「Land」信州の⼭々を巡り、同地で連綿と受け継がれた多様な⽂化を吸収し、⼈類史における最古の⽂化的企ての着地点である縄⽂時代へと辿り着く

Mame Kurogouchi(マメ クロゴウチ)2022年秋冬コレクション「Land」。⻑野の地を舞台に展開されるMame Kurogouchiの2022年コレクションは今季、信州の⼭々を巡り、同地で連綿と受け継がれた多様な⽂化を吸収し、ついには⼈類史における最古の⽂化的企ての着地点である縄文時代へと辿り着く。デザイナー⿊河内真⾐⼦は、現代の目線をもって”過去の現在性”へと光を当てながら、秋の野山が作り出す豊かな色とテクスチャーをオリジナルのファブリックで再現し、二つの物語を自身の内で融合させながら複数の時層を往還する旅へと誘う。葉の葉脈、乾いた大地、雑草、乱⽴する木々といった晩秋の山々を構成する全てが分解された後、色には名が与えられ、糸が染め上げられ、再び織り上げられた後に、表面を鋤かれることで⽣地の上に新たな⾵景が再現される。幾多の素材とテクニックを⼀着の上で編み上げた、ファーを思わせるニットのコートとトップスは、霞が晴れて様々な表情を見せる山々のように、自由にその印象を変化させる。同時に黒河内のミクロな視点は岩肌を彩る苔にも向けられ、クラシカルなドレスのカフスやショルダーを覆う繊細な立体刺繍へと⽣まれ変わる。秋の野⼭をめぐる間も⿊河内の思考は深く潜り続け、⼟の中から掘り起こされた歴史のピースに刻まれた⼩さな模様や⼿捻りの情緒の中に、1万年前の彼方の消息ある⼈々の葛藤や祈りを読み、彼らがしたように⾃らの⼿を動かし続けることで、かつてないほどにユニークなファブリック群によるコスモスを形成。ブランドのアイコニックなテクニックとして完成されたコード刺繍も新たな素材と表現で登場し、雪解けの⼤地や岩肌を覆う苔を思わせる立体的で柔らかなタッチを獲得し、原始の風韻を帯びながら炎のように全身を包むドレスへと変化する。⼟器の表⾯を覆う隆帯唐草文からインスパイアされた踊るようなパターンは、糸から染め上げたシルク混の三重織により揺らぎや筆致までも正確に織り上げられ、ミリタリーコートやノーカラージャケット、スカートなどの豊かなプロポーションで登場。縄⽂時代の1万年以上に及ぶ繁栄を可能にした豊かな自然や冬の静けさは、現代においても等しく⿊河内を包み込む。自身が⽣まれ育った自然への賛歌は、記憶の風景を表す⾔葉が散りばめられたチャンキーニットや、ジオメトリックなパターンのニットドレス、またはランドスケープ柄のスキーニットによりポエティックに表現されている。ボディ全体をキャンバスに描かれた⻑野のランドスケープ柄ニットは、白馬で出会った婦人作家の手織りによる絵織作品からインスピレーションを受け、複数の⽷を用いて編み上げられている。これはMame Kurogouchiにとって作家による作品を洋服の上に再現しようとする初の試みであり、白馬の雄大な景色を自身の眼を通して手作業で再現するという行為への共鳴と称賛の表明を鮮やかに映し出す。カラーパレットはブラウンやグリーン、カーキなどのアースカラーが秋の野山を染め上げるかのようにコレクションに豊かなグラデーションを⽣み出し、鮮烈なイエローやオレンジが、山々における希望の道標のようにコレクションに⼀筋の光を差し込んでいる。歴史の幾星霜を経て、⼤地の深層から掘り起こされた⼟器の破片、または記憶を氷に閉じ込めたかのようなピアスやバングル、ネックレスなどのジュエリーは、軽量ガラスを用いて⼟器の表面を覆う模様のように起伏し、ゆがみ、渦巻きながら体を包み込む。本コレクションの通奏低⾳をなすスポーティーとクラシックの融合は2つ⼒強いコラボレーションにより完成された。22年春夏コレクションに続き協業するハットメーカー「KIJIMA TAKAYUKI」によるクロッシェハットは、クラシカルなスタイルと、⼿作業による成型が可能にする美しい弧を描く独特なシェイプにより、あくまで現代的なコーディネートを提案する。ユニークな足元を作り出すベルベットの足袋と厚底の草履は京都にアトリエを置く「履物関づか」との初コラボレーションにより登場。伝統に立脚した現代のための創造という共鳴しあうマインドは、まるで苔を思わせる毛足の長いベルベットによるシューピースを誕生させ、力強く立ち上がる植物のようにコレクションに確かな根を張っている。



CONTENTS