OAMC 2022 SPRING/SUMMER COLLECTION 余計なものは必要ない、本質的なものを⾒つめ直す。ディーター・ラムスの作品と精神にインスピレーション

OAMC(オーエーエムシー)2022春夏コレクション。「簡潔なデザインほど優れている。簡潔なのに、より優れているのは、本質を⾒抜いてるからだ。デザインを純粋さと簡潔さを以って⾒つめ直そう」-Dieter Rams(ディーター・ラムス)。現代において、私達は今と近い未来のことばかり考えるようになりました。⾃分の⾏動と、その成り⾏き…。遠い未来や遠い場所を夢想するのではなく、今という時間と、此処という場所が重要になったのです。この感覚が、今シーズンのコレクションの出発点として、ラムスの作品と精神に私の⽬を向けさせました。余計なものは必要ない…、という感覚です。今シーズンは、本質的なものを⾒つめ直すことに喜びを感じました。表層的なデザインから離れて、最⾼の素材と技術を使って、ずっと着ることのできる服を作りたいと思いました。⼀つボタンが印象的な、ウールグラナイト、ダブルフェイスコットン、ポリエステル混のジャガード織りのハウンドトゥースのシャープなテーラーリング。ビッグシルエットには、防⽔のジッパーが付属したスポーティーなトラウザーを合わせて、シルエットの対⽐を楽しみます。ボリュームのある肌触りが柔らかいアウターには、ポケットを豊富に付けて。ボンディングされたダブルフェイスのビスコースと、3層構造のナイロンは、テクニカルな仕上げに。銀河を連想させるようなプリントも施して。フィルクーペとブロデリーアングレーズで装飾された柔らかいシャツは、リサイクルポリエステルの丈夫なトラウザーやコートと合わせました。今シーズンのコレクションで最も重要な要素は、Re:Workの新しいコンセプトです。既存の服や布を使って、コレクションの⼀部の制作を⾏うのです。今シーズンは、主にミリタリー服やブランケットを素材に使って、ミリタリーライナーを制作しました。服を解体して、シルエットを調整し、染め直し、布や⾦具で補強しました。これらのアイテムも、コレクション全体との調和が図られています。ヴィンテージ、デッドストック、廃棄された服の再⽣可能性を探求することは、興味深いプロセスでした。その可能性について考え始めることが重要なのです。Re:Workのプロセスは、⾒慣れたものを新しい視点で捉えようとすることに似ています。この新しい視点を、空き⽸のグラフィックで表現しました。ゴミだとされているものでも、視点を変えれば美しさや⾯⽩さが⾒つかるのはないでしょうか?資源について考えていた時、アインシュタインの⾔葉を思い出しました。「エネルギーは⽣まれるのでも無くなるのでもなく、変化し続けるのです」。すなわち、私たちは有限の資源を運⽤していかなければならないのです。今シーズンのカラーパレットは、ラムスのデザインからインスパイアされています。グリーンとピンクがかったグレー、ペトログリーン、ブライトイエロー、ブライトレッド、リッチブルー、リッチブラックタンレザーなど。コントラストカラーの繊細な配⾊が、ラムスの作品からの影響を⽰唆しています。「時として、⾊を少し使う⽅が、⾊で塗りつぶすより、カラフルだったりするのです。」-ラムス。アクセサリーとフットウェアはタフに。縦型のダッフルバッグ、パディングを施したレザーソールのサンダル、シューレースの代わりに防⽔のジッパーが付いたラグソールのブーツなど。トゥとヒールキャップにはラバー加⼯が施され、アウトソールにはブランドのシグネチャーのクリップが付属しています。「⼈を理解しようとしなければ、良いデザインとは何かを理解することはできない。デザインとは⼈について考えることなのだ」-ラムス。まさに、今の時代にこそ⼼に留めておくべき考えではないでしょうか?



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