KENZO Fall/Winter 2021 Collection「Kenzo Takada Always」色彩とプリントで自由、喜び、多様性、自然への愛、コントラストから生み出す調和を表現し彼が大切にしていた全てのものを捧げる #KENZOalways

KENZO(ケンゾー)2021年秋冬コレクション「Kenzo Takada Always」。2020年10月4日に髙田賢三さんが逝去された。予想もしなかった突然のニュースだった。直ぐにネット上では賢三さんの功績や人生が様々な方々から寄せられたメッセージや写真で溢れかえっていた。知り合った期間は短いものだったが、とても身近な人物を失ってしまったようだった。次の月曜日、仕事に戻り放心状態だった。次のコレクションに取り掛からならないといけない。何から始めるべきか?この悲しみを前向きで、楽しく、自由なものにどう変換したらよいのか?たった一つ確かなもの。それはこの思いをトリビュートにする事ではなく祝賀にする事。彼という人、そして彼の仕事、ビジョンを称える事。賢三さんの素晴らしい功績を丁寧かつ敬虔に振り返るだけでは新しいものは生まれない。直感、本能、驚き、アクシデントの為にある種の余裕を残す事は必須である。これら無しでは新しい事は何も生まれない。1978年から1985年までのKENZOのショーのビデオを全て観る事から始めた。アーカイブや写真、ドローイング、雑誌等から服やコレクションについての知識は既にあったが、素晴らしい衣服が動いているのを観るのはKENZOの世界に新しい視点を開いてくれた。唐突にも彼の語彙は全く新たな色彩を得る。ここでモデル達は活気に満ちた歓喜、優雅で小生意気さを出しながら歩きまわる。全てはとてもオーガニックでありナチュラルで、官能的で感情的であるように見えた。ある意味、安全で想定的な今日のファッションが成してきたもとは正反対。KENZOと私自身のアーカイブからいくつかのピースを選び、着用し、写真に収め、動きを研究するという長いプロセスを開始した。コラージュ、カット、ペースト、消去、描画、裏返してみたり、逆さにしてみたり、分解して引き離し、再構築する。スケッチブックはコラージュ、ドローイングや写真を集めた可能性でいっぱいになった。新しい物語、新しいコレクション、新しいシルエット、新しい衣服、新しい機能性、新しい官能性の可能性。新しい世界の可能性。国境、偏見、固定観念のない世界。KENZOは自由、喜び、多様性、自然への愛、コントラストから生み出す調和を表している。色彩とプリントでこれら全てのものを表現したかった。彼が大切にしていた全てのものを賢三さんに捧げる。風景、オルテンシア、鳥、鎖、バラ、ストライプ、パンジー、チューリップ、カクテルグラス、全てが想像上のカラフルな御馳走に混ざりあう。パリに閉じ込められていたものの、自宅と職場の間で私達は頭の中で旅をし、創造性は現在の状況に対する解毒剤になる。想像は新しいエリクサー。いつも行く場所。旅の持つ魔法と美しさ、遊牧する民の心へのオマージュ。大胆不敵で楽観的、独立している世界の放浪者。彼らは緑豊かな織物の鎧で走り、踊り、祝う。どこか新しい、予期せぬ手つかずの場所にたどり着くかのようなスリルと喜び。直感的な人生への憧れ。直感的な自由への渇望。Kenzo Takada Always.



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