Y/PROJECT 2021 SPRING/SUMMER COLLECTION ブランドのコアバリューに問いかけ、振り返り、そして”文化的例外”を称える詩のようなもの

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Y/PROJECT(Yプロジェクト)2021年春夏コレクション。世界的に不安定な情勢とその影響の中、クリエイティブ・ディレクターGlen Martens(グレン・マーティンス)は、このパリレーベルのクリエイティブに対する指揮を執り始めて7年が経ち、Y/PROJECTの本質について問いかけた。Y/PROJECTとは何を意味するのか?今シーズンは、ブランドのコアバリュー(多用途性、折衷性、そしてプレイフル(遊び心)さ)に問いかけ、振り返り、そして称えるようなコレクションを発表。コレクションは、この厳しい状況下でデザインと製作が行われた。高度なパターンメーキングの技術を要する捻りが加えられたデザインのブランドとして、最小規模のチームとの進行や、本来必要な回数のフィッティングを行えなかったことは新たな挑戦でもあったが、同時に本質を見極める機会ともなった。Y/PROJECTなりのアプローチの心髄は、喜びに満ちたクリエイティブ・エクスプレッション(クリエイティブな表現)。ブランドは、リスクをいとわない姿勢と、そこから生まれる唯一無二のデザインが世界的に称賛されている。デザイナーは大事を取らず、限界に挑戦。シルエットに対する既存を覆し、様々な関係を融合、そして洋服の新たな着方や作り方を再開発している。これが、Y/PROJECTの本質であり、最新コレクションにおける一連のストーリとなっている。最新コレクションでは、袖や裾に施されたスナップボタンは、それぞれのピースへ創的に違った個性を表現する新たな機会をもたらしている。トレンチコートやニット、ドレスは、ボタンの閉じ方次第によって予期せぬボリューム感や形を得ることができる。パンツはフロントパネルから燃えているようなヒレを伸ばし、ジャケットとトップスは左右対称なパターンから捻じれた形に流動。ブレザーのネックラインは二股に分かれ、スカーフのようになる。Y/PROJECTのデザインに対する精神へ忠実に、それぞれのピースがデザインのツイストや、見慣れたクラシックなピースを”あり得ない造形物”へ変形させることに着目している。ブランドのシグネチャーデザインでもあるダブルパネルコートやVカットパンツ、アシンメトリーの襟が、コレクションに抑揚をつけている。そしてこの解体や再構築が群雄割拠する中、より上品且つ柔順なバージョンのY/PROJECTの女性像–シルクスカーフをスカートのようにウエストに巻き、レースでカバーされたヒールを履いた女性も登場。新しいハートやバラの形のピアス、“エイ”型のミュールが、コレクションへ本質的なフェミニンタッチを加えている。様々なプリント、カラー、テキスチャー、そしてシェイプが入り乱れる21SSコレクションは、Y/PROJECTの「文化的例外」を称える詩のようなもの。