Patricia Field来日密着&インタビュー at TOKYO→Nakamura Keith Haring Collection
・ようこそ日本へ!久々の来日ですね
―日本に来るのは5年ぶりくらいかな。でもNYに仕事を残して来たから今回はとても短いステイなの。わたしが今日本にいるってことを知らない人もたくさんいるわ。突然消えて、逃亡してきたのよ(笑)以前はよく来ていたけど最近は全く来ていなかったから、移動中の車の窓からも外の景色を見て、何が変わったかって考えていたわ。そして気付いたのは、それぞれの街に違いはあるけれど、今わたし達はグローバルな世界に生きていて、昔よりもそれぞれの街の違いっていうのが少なくなったような気がするっていうこと。わたしたちの周りには同じような情報があって、同じような体験をしていて、そしたら自然にそうなるでしょ?世界中のH&Mで同じ商品が買えて、それはシャネルだって同じことが言える。だから今の時代、国だとか都市とかがカギを握るわけではないわ。
・どんなことからそれを感じましたか?
―こうして街を見ていても誰もハイヒールを履いていないっていうのは、NYも同じ。人々はきっと疲れて、もっと心地よくいたいの。テレビのニュースを見ていてもいいことなんてなくて、ため息が出るばかり。きっとそういうことが、着るものだったりすべてのことに影響するんだと思うわ。最近ではクロックスとのお仕事があったんだけど、わたしの周りもみんなクロックスが大好き。そしてアジアはクロックスの大きなマーケットのひとつよ。そういうところでも実際に、みんながハイヒールに疲れてることは聞くし、そういう人々の声をわたしが無視すれば、彼らもわたしを無視するわ。だからきちんと耳を傾けることは大事。
・数年前のみんなが高いヒールを履いてた時代とはだいぶ違うのですね
―ハイヒールだけしか履かない時代もあったし、わたしはそのブームの中にもいた。ちょうどSATCでキャリーにDiorのグラディエーターを履かせた時、世の中は「グラディエーターのブームが去ることなんてあるの?」って感じだったけど、もうわたし自身、ハイヒールは履かないし、履く必要ないと思うの。足が痛いほど嫌なことってないわよ。ハイヒールの時代が終わったとき、クリスチャン・ルブタンやマノロブラニクはどうするの?って考えたけど、クオリティの高いものは作ってるけどきっと誰も履かないわ。いつの日か戻ってくるとは思うけどね。でも女性は男性を喜ばせるものだとか、女性が下にいるっていう考えは世界中でゆっくりなくなってきてる。世の中は人口が増えすぎるせいで、他の生き物が減ったり、めちゃくちゃになってるわ。結局このままだとわたしたちは地球で唯一の存在になってしまうから、人口が減るのはいいこと。わたしはこうしていつもファッションを大きく捉えて見てるの。
・世界中を旅して感じることは?
―本当に仕事で世界中を旅するけど、ある時違う都市からアメリカに帰ってきて、本当にアメリカはモダナイズされてないって思ったの。もちろん高いビルはたくさん立っているけど、そういうことじゃない。NYでさえ古く感じるわ。たとえばシンガポールや上海などの発展している都市の中には、モダンな鉄道が走っていて、モダンなビルが立っているところがたくさんある。アメリカで何が起こってるのかわからないけど、もっとそういった進歩を見せてほしいと思うわ。それは単に建物や街並みに関してだけじゃなく、環境問題のことも、技術面でもね。かと思えば、世界では未だに戦争を続けてる国もあって、最近は本当に気が滅入ることが多い。 だから少なくとも私はファッション業界で働いていて良かったと思うわ。人にハッピーを与えたり、美しさを作る仕事だからね。
・トレードマークの赤い髪の毛について
―初めて赤くしたのは90年代の頃よ。元の色は黒に近い色なんだけど、白髪が生えて来たのが30代の頃だったから、最初は地毛の色に染めていたの。そして年を取っていくうちに何か違う色にしたくなって、色んな色を試したわ。そしたら自分の肌の色には一番、赤が似合うってことがわかったの。そしてこの赤髪でみんなに認識されるようにもなったし、なにより鏡を見た時にハッピーになるのよね。三原色の中でもっともクラシックな色だし、他のどんな色にもマッチするから、それからはずっと赤。よくわたしの好きな色は赤なんだと勘違いされるんだけど、そういうわけじゃないの。好きな色で言えば、自然で平和なイメージの緑が好きよ。でも緑や青の髪にしたいとは思わない。もし他におすすめのカラーがあるならば教えて?その色を試してもいいのよ(笑)
・パトリシアにとってファッションとは
―普段は興味深く、知的に見えるようなスタイリングをするように心がけてる。流行を追ったことなんてないから「次のトレンドって何ですか?」って聞かれるのが一番嫌い。英語ではよく、ファッションとスタイルっていう言葉を同じように捉えるひとがいるけど、わたしは違うと思ってるわ。ファッションは単に洋服よ。そしてスタイルといってすぐに洋服のことを考える人が多いけど、実際はもっと幅の広いもの。だれと交友関係があるのか、毎日なにを食べるのかとか、ライフスタイルに関わる広いものだと思うわ。その中にどうやって着飾るかっていうものも入ってくる。私にとってファッションとは、音楽だったりアートだったり、ほかのクリエイティブなものと同じ、つまり文化の表現だと思ってるわ。
パトリシア・フィールドの滞在後半は、小淵沢アートヴィレッジ「中村キース・へリング美術館」に移動し、RETOY’Sチームも同行させて頂きました。日本ではここでしか観れないキース・へリングの貴重な展示は必見です。今回は、ニューヨークのキース・へリング財団認定のもと、子どもたちが世界に羽ばたくきっかけを与え、アートを通して現代社会のなかに存在するさまざまな違いを尊重する事を目的に開催されている”国際絵画コンクール”の審査員としてパトリシアが来場。授賞式に出席したパトリシアは、子供たちの描く絵画の素晴らしさに驚きながらも、小さなアーティストたちと共に楽しい時間を過ごした。忙しいスケジュールの中、終止周りを気遣い、そしていつもパワフルな姿に、最後まで私たちの心をわしづかみにしたまま、キュートな笑顔を日本のファンに残して彼女は帰国しました。またすぐに会える事を楽しみにしています!
©Ena Kitamura
■Patricia Field