mame 2017 autumn winter collection「TIMELESS」

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mameの2017秋冬コレクション。朝吹真理子さんの「TIMELESS」という小説のなかに、北海道に住む「鳥類さん」というおじさんの話が出てきます。「鳥類学者の鳥類さん。なんでも知ってる鳥類さん。鳥類さんはオオワシの研究をしていて冬は知床に行く。」本を閉じると、行ったこともない知床の靄の中で立ちすくむ「鳥類さん」の姿が私の脳裏に浮かび上がってきました。そしてなんとなく、私はいつものように、冬のはじまりにそこへ向かわなくてはと感じたのです。北への旅では多くの出会いがありました。秋田の「なまはげ」や北海道の北方民族の衣装、そして何よりも、山形で出会った婚礼用の背負子の「ばんどり」の藁に編み込まれた色布や糸の荒々しい手仕事は、私を夢中にさせました。また、地元の博物館の資料庫に眠っていた、その地を訪れた異国の建築家やデザイナーが農民たちの手仕事に感銘を受けて作ったという家具や籠の試作たちは、道具の持つ機能と時を超える美しさを兼ね備え、心から感動しました。東京に帰った私は、いつものように様々な編み地の試作を繰り返し、そういった温もりが感じられる藁細工のディテールは、私の今着たいやわらかなニットになっていったのです。寒さの厳しくなってきた北の大地では、夕焼けが靄と一緒に紫色をしていて、その光景を眺めながら一本一本経糸と緯糸を想像してその夕焼けをほぐしていきました。西陽はとろけるような暖かさで頬をさし、燃えるように鮮やかな色で弾けるななかまどは、色んな色層の赤茶のパレットに。小説の中に出てくる夢の中のような描写、そんな波のように揺れる薄の海をうかべて儚い白に生地を染めていきました。それは、私がみた「鳥類さん」の面影をなぞるような旅でした。土砂降りの雨は、雨粒を沢山ふくんだ霙になって、いつのまにか牡丹雪になっていく。標高が高くなるにつれ華奢な細い枝たちに雪は積もり、車の中から見上げていると、まるで繊細なレースに包まれているようでした。そういう時間の経過をぼーっと目にしながら、どうしたらこういったふくよかな気持ちの洋服が作れるだろうかと思いました。大切なものはいつまでも変わらない、そういった記憶の蓄積のような洋服を作りたい。等身大の「TIMELESS」な洋服。私はこれからもゆっくりと作っていきたいと思うのです。

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