Rick Owens 2021 S/S Men's Collection「PHLEGETHON」恐怖と不安定さを打ち消すための古典的な方法

Rick Owens(リック オウエンス)2021年春夏メンズコレクション「PHLEGETHON(フレゲトン)」。フレゲトンは、ダンテの神曲に出てくる地獄の川の1つであり、地獄の中心ではないが、そこに向かう途中に登場する。破滅を美化することはどの時代も思春期の時に通る道だが、それは恐怖と不安定さを打ち消すための古典的な方法。備あれば憂いなし、ということわざにもあるように。前回発表した秋冬のランウェイでのショルダーの追求はパワーについてではなく、反抗について表現した。特に人が脅威に直面した時の反抗を表現したのです。その時に発表したメガワイドショルダーをまた今回もコートやジャケットで再現。袖が破かれていて、露わになったアームホールの裂けた白い生地の部分が、暴動の余韻を感じさせる飾りとなっている。黒のスーツ生地のテーラリングのジャケットは白のステッチが肩前面を水平に直線で縫われている。このはっきりとした直線のラインは秩序と理性を示唆。ラペルには幾何学的なサテンのディテール(暗号)が埋め込まれている。ジャケットのショルダーにはキルティングのパッチを施しているが、これは昨年本を監修したアメリカのデザイナー、ラリー・レガスピから影響を受けている。このディテールには18年前に初めてイタリア生産のコレクションを発表したときから使用しているモッタアルフレッド社のペルガメーナ(羊皮紙) レザーを用いている。今回使用しているレザーのほとんどは、我々がダブルバターと呼ぶ0.8MM厚のナポリメードのしっとりしたダブルフェースのレザーを含め、ダブルフェイスのミニマルでライニングを使用していない構造で作られた。グラデーションプリントはイタリアのジェラートを彷彿とさせるカラーでシフォンやクレープ素材、ニットなどで展開。ニットは時に重ねて押し上げられ、時にバナナの皮のように剥けて捲り上げたり下げたりできるので、思いのままにカバーしたり露出したりできるようになっている。今シーズン登場するニットやスウィムウェアは「DIRT」と題した2018春夏コレクションで発表したMEMBRANEと呼ばれるTシャツと「MOUNTATIN」と題した2012秋冬コレクションで発表したマスクのデザインをベースに開発。ストレッチデニムを使用したジャケットとショーツの表面にはリサイクルプラスチックから作られたカスタムメイドのスパンコールを覆っている。リサイクルプラスチックはシューズとレインコートにも使用。リサイクルプラスチックを使用することに関して私たちのスタジオでは、他の素材の選択肢がある中でプラスチックという有害な素材を使用することを美化しているのではないか、いや、すでにプラスチックとして生み出されたものを再生することに意義があるのではないか、などと議論があるが…。ショルダーのボリュームとのバランスをとるために、バウハウスと呼ばれるジッパー式カーゴポケットを備えたBOZOバラストブーツを提案している。

■RICK OWENS

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