TAKAHIROMIYASHITATheSoloist. Spring / Summer 2020 collection「静寂の二重奏。」もう一人の自分と”デュエット”しているかの様に表現

TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.(タカヒロミヤシタザソロイスト.)の2020春夏コレクションは「静寂の二重奏。」創造の為に新たなる扉を開ける事は、前進していく上で必要な事である。しかし俯瞰でふと周りを見渡した時に、今の世の中に自分の気持ちに寄り添う事の出来る洋服があまりにも少ないことに気づく。それは決して前進の為の創造を否定するわけではなく、ただ純粋に洋服が好きであり、”洋服を着る”という行為により自分自身を表現してきた自身の深層心理の表れである。前進するために無意識化で忘れようとしていたのかもしれないその気持ちは表層にあらわれ、常に自身に寄り添うファッションの根幹を強く再認識させることにつながる。デザイナーの宮下は、洋服とよりパーソナルな対話をするために、無意識化におけるもう一人の自分自身の根幹を前面に押し出し、今コレクションを表現した。宮下の根幹から発せられる表現は、所謂昨今の洋服カルチャーに対するアンチテーゼとも違い、よりシンプルに宮下が着たいと思う洋服を単に具現化していく表現である。宮下が好きな80~90年代のNYのポップアートカルチャーシーンとミュージックシーンを築いた人々、宮下に影響と衝撃を与えてきたその人々のスタイルは自身に引き寄せられ、宮下が少年の時より変わることの無い自身の好きなスタイルへと投影される。それはあたかも宮下自身が、宮下の根幹をなすもう一人の自分と”デュエット”しているかの様に、世俗の何者にも縛られることは無く、自己へと向けた自由なスタイルの解放を可能にする。世界中で愛されるミッキーマウス。彼との”デュエット”もまた、宮下のファッションの根幹において必然である。彼は宮下の気持ちを代弁したかのように、洋服という世界の中を自由に闊歩する。彼の住む世界の言葉はグラフィティとして表現され、彼自身のアイコンとともに宮下のクリエイションに落とし込まれていく。それはとても純粋で、親友と”デュエット”しているかの様な、本当に楽しく美しいハーモニーを奏でる。ジャケットスタイルを基調としたシンプルな黒と白の静寂の中には、宮下の思い描く美しい世界が広がる。フォーマルでもカジュアルでもないその世界には、シンプルなフォルムの内側に宮下の経験と思いが存分に落とし込まれ、純粋に洋服を着る楽しみが溢れている。それはきっと宮下とTAKAHIROMIYASHITATheSoloist.の洋服を着る人自身とが繰り広げる、自由な”デュエット”により、未来への創造の扉が開かれるという事に他ならない。洋服へのラヴ・ソングを、僕はもう一人の僕と撃たう。ただひたすらに美しい静寂の中で。