Mame Kurogouchi 2018-19 FALL WINTER Collection「Choice, Tradition, Creation(選択・伝統・創造)」自身の身の回りに潜む多くの美しいもの

Mame Kurogouchiの2018-19秋冬コレクションは「Choice, Tradition, Creation」。ファッションデザイナーは私の子供の頃からの夢でした。私が育ったのはファッションとは無縁の退屈な場所でしたが、四季折々のうつろいが感じられる自然豊かな場所でした。身の周りには祖母が大切にしてきた器や着物があって、毎日綺麗に飾られた玄関の生け花はそこら辺に生えていた草花でした。大人になって、それらがどれだけ素晴らしいものだったのかを感じています。今回、パリでコレクションを発表する機会を頂き、物作りにおいても初心に戻ろうとリサーチしていた中で出会ったのがインスピレーションになったCharlotte Perriandの「選択・伝統・創造」の展覧会の図録です。 戦前に日本の政府に招致されたペリアン女史は柳宗理らと共に日本全国をまわり、職人達の元を訪れました。彼女は身の回りに潜んでいる日本の民具や工藝に美を見出し、それらをままとめて展覧会を開きます。その図録は今見てもモダンで途轍もなく美しいものでした。多くをみて学び、選択し、伝統から新たな創造をした彼女に学び、私は自分の身の回りをもう一度見直してみました。そこには多くの美しいものが潜んでいました。カラーパレットの茶色は私の事務所の周りに落ちている落ち葉達。ミントグリーンは毎日使っている領収書から採取しました。いつも踏んでいる石段はベロアのジャガードの生地に。華やかな花柄は庭に生えている植物やいつもの喫茶店で活けられているものをスケッチしました。ペリアン女史も影響を受けたであろう昔から日本で使われていた畳や、籠、笊。民具などに用いられていた日本の藁細工のディテールはニットや荒々しい手織りの生地となりました。今この世界には多くの洋服がすでにあって、私は洋服を作る意味を常に考えています。私自身経営者であり、デザイナーであり、女性です。私は様々な場面で洋服に背中を押されてきました。私達の洋服は完成までに長い時間がかかりますが、そこには毎回インスピレーションとなる物語とそれを形にする日本の職人や工場の技術が詰まっています。多くの物語をもった1着の洋服は現代社会において活躍する女性の背中を押してくれると信じています。